小さなフラードーム小屋を考える(その5)

ここからは、105枚の三角の集合体を家にしていく作業です。

見えない「黄金比」が内部に隠されているフラードームの、構造美をなるべく崩さないように、建築として、家として、作り込んでいく作業になります。

フラードームって、なに? 【ドームハウスの秘密】

2019.12.28

そんなことを考えながら、まずは窓。
ドームの場合、窓はどこにでも付けられるわけではありません。
三角フレームを切って入れるのではなく、三角の中に入れ込むことが先ほどの美しさの追求から外れない事なんじゃないかと思います。
であれば、三角フレームそのものを使って窓とする、という方法が最も素直な考え方です。

小さなフラードームは、一つ一つの三角も小さいです。
1辺が70~80cmほど。
大きな窓にはなりません。
ドームの内部は狭いですので、室内をなるべく明るくし、景色も取り込みたいです。
そこで、三角二つをつなげたり、三角三つをつなげて窓とすることが考えられます。

間のフレームを取り去ってしまい、三角三つをつなげた台形の窓とするアイデアもありますが、構造部は極力壊すことなくデザインしたいです。
ドーム本体の骨格であるフレームを取ってしまうと、構造的にも美的にも崩れてしまうという理由もありますが、他にも問題が出てきます。
3枚の三角を一体にしても、1枚の平面にはなりません。
三つの三角が折れ曲がりつながった台形となり、普通の1枚ガラスの窓を付けるには、複雑な形状になってしまいます。
途中で折れ曲がった台形のガラス窓、、、格好は良いのですが、加工が難しそうですね。

 

窓を考える際に、もう一つ同時に考えたいパーツに「庇/ひさし」があります。
複雑な形状の屋根を持つドームハウスは、つくり方を間違えるとすぐに雨漏りにつながってしまいます。
大型のドームハウスの場合、屋根には屋根専用のトップライト(天窓)を設置します。
屋根専用のトップライトには、安全に雨仕舞いを施すための板金を取り付けます。
そういった特殊な施工が難しい手作り窓の場合、雨に対する防御策として有効なのは、「庇」。
窓の上には、庇を付けたいです。

しかし、屋根面に穴を開けることなく庇を取り付けるのは至難の業。
庇はときに台風にあおられ、時に雪が載り、重い氷の固まりが積もることも考えられます。
しっかりと取り付けるには構造フレームがある場所に設置するのが得策です。
そうなると、三角に沿ったどこか。
考え易いのは、三角窓の直上に付けるのが良いでしょう。

形状は?
大きさは?
設置方法は?

庇、結構難しいんです。

庇の先端からは、ぽたぽたと雨が落ちてくるはずです。
その雨の滴が、窓、建具本体に当たらないだけ軒の出を伸ばしておきたいですよね。
冬には庇の上に雪や氷が載って来るでしょう。
庇の下にはツララが付くかもしれません。

もしツララが出来たとしても、庇上の氷になった根雪が落ちてきたとしても、窓や窓ガラスを壊すことがないだけの出を確保しておきます。

 

そんな考察の元、出来上がった初期造形がこちら。

窓は3つの三角を抜いて、三つの連窓としました。
庇も窓も、ドームの顔になる存在。
カッコ良いことも大切です。

この3つの三角、内部から見るとどれくらいの高さになるのでしょう。

 

窓の上端がデッキの床から1.3m、下端が0.7m。
椅子に座りテーブルに付いた時に丁度目の高さで、良いんじゃないでしょうか。
小さなドーム小屋は狭い空間ですので、中で行われる作業もきっと座ってすることが主となるでしょう。
ソファーに座った場合も目の前が壁の場合と、窓がある場合とでは閉塞感が全く異なります。
開けられる窓を作る事が出来れば、かなり良い空間になりそうですね。

 


残るは玄関。
玄関だけはどうやっても構造体を外してしまわなければ作れません。
ミニ・フラーに限っては、1つの三角が60~70cmの高さしかありません。
人が出入りするには、最低でも180cmくらいは欲しいところ。
どこかを切ってドアとなるパーツを付けなければなりません。

ドアにも庇が欲しいです。
そうなると、窓の庇の1段上までをカットすることになります。
また大きな庇の場合は、風や雪に対する強度の事も考えておかなければなりません。

小さなフラードームの最も難しい設計要素は、この玄関ドアですね。

三角6~7枚をそっくり取り外すか?
立って通れる事を絶対条件とするか?
ドームの形状を無視し、作りやすく使いやすい普通のドアが付く様に、左右に壁を取り付けてしまうか。
いろいろと悩んでしまいます。

ここはもう、美学、思想の範囲ですね。
あなたならどうしますか?

ドームハウスにご興味をお持ちの方へ

一人で家族のみの協力の下で始めた、森のドームハウス建設に始まり、
ドームハウスの専門家が集まり始めたドームドリーマーズを経て、
より多くの方々への情報を伝えるためのドームハウスインフォ設立に至りました。

 

お陰様でドームハウスの実績や活動内容も充実してまいりましたので、
カタログを制作してお届けすることができるようになりました。

ドームハウスにご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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ABOUTこの記事をかいた人

和田 啓宏

一級建築士事務所 studioPEAK1(スタジオピークワン)代表。 山梨の県北、南アルプス山脈甲斐駒ヶ岳の懐に位置する白州町の森にて建築・設計活動をしています。白州に活動の場を移して十数年。この自然の中でしか感じることが出来ない事を学び吸収し、建築に反映してきました。技術力やデザイン力のみではなく、心からわくわくし、楽しくなる建築をめざし日々精進しています。