小さなフラードーム小屋を考える(その2)

「エスキース」
フランス語の美術用語で、試作のための下絵や、大まかな構想や配色を行うという意味なんだそうですね。
建築の世界では頭の中でもやもやとしているコンセプトや要素を、形にするべく試行錯誤することを「エスキースをする」と言います。

通常は、施主さんの要望と共に土地の条件、法規制、予算制限など、多くの決められている条件がありますので、バランスよく全体を入れ込みながら整理していきます。

何も無い所からアイデアを生み出すには、土地を見てその敷地が持つ要素を読み取り、イメージを土地から感じ取ることが大切です。
街中では道路や近隣の建物、人通り、音、方位や太陽の位置等。
森の中では景色や周辺地も含めた木々の植生、水の流れ、風の方向、地盤の構成など、自然条件から見えてくるものがあります。
与えられた条件と共に、どれだけ多くの条件を土地から感じ取り収集することが出来るかが重要となります。
そんな要素の関係性を拾い出し、紙の上に図式化していきます。

まずは言葉と矢印、要素を丸で囲った簡略図を書きながら、人の動きや物の位置、誰がどこで何をするか、と小さな自問自答とシミュレーションを繰り返し繰り返し行うのですが、良いアイデアやこれ面白そうだね、というものはなかなか出てきません。
そこで、一つの言葉から次の言葉を引き出す連想ゲームを紙の上に展開していきます。

私が良く使うのは、マインドマップ。
言葉を矢印でつなぎ広げて行き、大きな幹から枝、更に小枝へと広がって行く樹木のように、関連する言葉を1枚の紙の上に書き広げて行く思考方法です。
複雑に絡み合っている要素や、多くて一度には考えられない要素を、隅々まで頭の中から紙の上に追い出すことで、もやもやしていた事柄をすっきり整理することが出来ます。
言葉からの連想って結構大事で、言葉から新たなイマジネーションが生まれることも多いんじゃないかと思っています。

例えば、ちょっと思いついたことを誰かに話し始めると、
あ、そう言えばこういうこともあるよね、とか、
こんなの見たことある、とか、
次々に引きずり出されるように言葉やアイデアが出てくることってありませんか?

まずは言葉、続いてそれを繋いでいき、様々な要素同士の関係性を整理していきます。

 

今回の「小さなフラードーム小屋」は、土地が決まっているわけではありません。
良いね!と感じて貰えるプランを描くのは、ちょっと難しそうです。
ドームは地面の上に直接建てるのではなく、平らなデッキの上に載せるように施工しますので、今回はこのデッキを土地としてエスキースしてみることにします。

デッキはドームを載せるだけの広さでも良いのですが、デッキの上も外部の居間であるアウトドアリビングとして使えれば楽しそうですね。

ドームの直径が3.6m。
ドーム部分のみ四角くすると、3.6×3.6ですので丁度8帖の大きさになります。
テーブルを置いたり作業をしたり出来るように、ゆったりとしたデッキにしてみます。

 

まずは、何もない四角を、紙の上に配置してみます。
紙は、上が北。
右が東で、左が西、下方向が南だと考えます。
そうすると、右から日が昇って、左の方へ沈んで行く。
机に置いた紙の下側、手前の方が南ですので、自分の目の位置はお昼時の太陽の位置。
そんなことを考えながら、四角の中でのいろいろなあなたの楽しい時間を想い描いて行きます。

想像してみて下さい。
この四角の中で何をしますか?
この中に何をいれますか?

 

土地には表と裏があります。
表は玄関、入る側、招き入れる側です。
裏には倉庫や設備類を置くことが多いですね。

表はお客さん用で、裏は家族用。
囲い込んだプライベートな庭を裏に、というのもあるでしょう。

人を迎え入れる表には、玄関ポーチを兼ねたアウトドアリビングを中心に考えてみます。
デッキの上にテーブルと椅子のセット。
外用のソファーや暖炉があるのも良いですね。
火があれば、BBQをしたりパーティーをしたり、人が集い楽しむ場所になり得ます。
レンガで本格的な火台、屋外暖炉を作るのであれば、一緒にピザ釜を作って、ピザやパンを焼いてみるとか。
BBQまではしないまでも、お湯が沸かせるだけでもちょっとしたプライベートカフェとか、お茶に読書とか。
ペットと過ごすぽかぽかデッキも良いですね。

火はちょっと危ないので、と言う場合は、ソーラー発電パネルを載せた発電・蓄電システムをボックスの中に入れて設置、というのはどうでしょうか。
晴れの日に勝手に蓄電された電気を使って、電気ケトルでお湯を沸かして、IHでお料理。
低電力でも使用することが出来るUSB機器を使えば、いろいろと楽しめそうです。
タブレットで映画を見たり、スクリーンに投影して屋外シアターなんていうのも可能です。
ソーラー充電システムは、キャスター付きの箱に入れておき、室内にコロコロと転がして運び入れるようにするのはどうでしょうか。
照明機器や家電、オーディオや電気毛布など、室内の方が使い道が多いかもしれません。

 

裏の方はワークスペースを中心に考えてみます。
プロパンガスや給湯器を置くのであれば、裏側へ設置します。
井戸を設けるのであれば、電気設備やポンプがこちら側。

楽しみの一つとしてのワークスペースとなると、自転車やバイクの機械いじり。
工具を入れる倉庫や、油まみれになっても良い場所も作りたいです。

畑をするのであれば、ドロドロの農機具や肥料などを入れておく収納庫。
木工や薪割りをする場合は、チェーンソーや燃料、オノなどの道具置き場が必要ですね。

 

さて、いろいろなアイデアが出て来たところで、いよいよ平面図に落とし込んでみましょう。

 

屋外ダイニングと火の周りには、家族や友達も描き入れます。
絵の中に人が居ると、ぐっとイメージがわき、わくわくしてきます。

お父さんとお母さんはBBQ、おじいちゃんとおばあちゃんは座ってお食事。
子供達は遊びに夢中です。

なんだか楽しそうじゃないですか?

フラードームの小屋構想、だんだんと描けてきました。
次は、ぺらぺらの絵を立体的に考えて行きましょう。

ドームハウスにご興味をお持ちの方へ

一人で家族のみの協力の下で始めた、森のドームハウス建設に始まり、
ドームハウスの専門家が集まり始めたドームドリーマーズを経て、
より多くの方々への情報を伝えるためのドームハウスインフォ設立に至りました。

 

お陰様でドームハウスの実績や活動内容も充実してまいりましたので、
カタログを制作してお届けすることができるようになりました。

ドームハウスにご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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ABOUTこの記事をかいた人

和田 啓宏

一級建築士事務所 studioPEAK1(スタジオピークワン)代表。 山梨の県北、南アルプス山脈甲斐駒ヶ岳の懐に位置する白州町の森にて建築・設計活動をしています。白州に活動の場を移して十数年。この自然の中でしか感じることが出来ない事を学び吸収し、建築に反映してきました。技術力やデザイン力のみではなく、心からわくわくし、楽しくなる建築をめざし日々精進しています。