新しく設計を始める場合、
まずはこんなイメージを共有することから動き始めます。
設計をスタートするには、
土地、予算、家づくりの方向性が決まっていることが大前提です。
それは、こんな風に土地から得られる情報が建物の設計に大きく影響するからなんですね。
建設地に立ち、施主さんと共にどのようなことを思い、どのような暮らしを思い描くかを話し合います。
そこから得た情報を敷地図の上に落としていきます。
まだまだ家の大きさや配置は適当。
しかしそれでも、適当なスケールの絵でも、配置図に落としてみるといろいろなことが頭に飛び込んできます。
それを書き起こしストーリーを組み立て、家づくりの初期案として叩き台にします。
だからこそ、土地は大切な要素。
決まってないと設計が始められないのです。
こちらのご依頼の土地は、アウトドアの楽しみをそのまま家の中にまで取り込む、遊べる家。
別荘としての、ドームハウスらしいコンセプトです。
考えて行く内に、単に遊びの要素を家の中に作るだけではなく、その土地だからこそ実現出来ることを入れ込んでみたいと思いはじめました。
例えば、日当たりが良い土地なので、「創エネ」つまりエネルギーを作り出す家に。
電力だけでなく、暖房用の暖気も屋根集熱によって作り出し、エネルギーを節約します。
また、ここは斜面に建つ家になるため、大きなコンクリートの基礎が必要。
半地下に埋まり込んだコンクリートの内部空間は、夏はひんやりとまるで鍾乳洞のような涼しさです。
天然冷房を備えた部屋もできそうです。
この土地は水源が豊富な場所。
夏は冷たい地下水が使い放題ですので、これを室内に巡らせた配管に通しておくと、冷え切った塩ビ管の表面に空気中の水分である結露が発生します。
つまり、自然に空気中の湿気を除去してくれるということ。
これで天然の除湿機が出来上がります。
電力を使わない天然除湿装置付きの半地下室です。
部屋の隅は上へと開いており、見上げるとドームの天井に設置した天窓から光が差し込んできます。
ジメジメすることのない、半地下の畳敷きの部屋。
エアコンなしでも快適な真夏を過ごすことができそうです。
続いて庭には、ちょっと上にある道路からの目線を遮るために木をたくさん植えたいです。
そこで、折角植えるのであれば、季節毎に食べられる実のなる木を植え果樹園に。
春は梅やジュンベリー、山菜もたくさん採れそうです。
夏は近所の川出水遊びをしたあと、収穫したスイカやメロンをおやつにしたり。
秋は柿、栗、ビワにザクロ、そしてご近所の農家さんから頂いた新米。
年中、季節毎の旬な味わいをもたらしてくれる家になれば良いですね。
そしてもっと楽しめるのは、キッチンガーデン。
あまり大変にはしたくはないので、小さな手間いらずの畑にします。
トマトやキュウリはサラダに、しそとネギはそうめんに。
ピザにのせるバジルの葉っぱも。
また冬には収穫したジャガイモやサツマイモを、薪ストーブで焼き芋に。
台所直結の小さな農産地です。
外のウッドデッキは、遠目には木にしか見えない木目調のタイル仕上げで手間いらずに。
台所から畑までデッキで繋げるのがいいですね。
BBQやテント泊、アウトドアの外遊びだけでなく、
建物内での時間も、豊かな庭によってどんどん充実していく家になるといいですね。
この土地だからこその暮らし、楽しみ、豊かな時間を、初期の設計時から考えて形にしていく。
季節の移り変わりを感じることができる家が楽しいのではと思います。