ドームハウスの構造計算:テントドームでのシミュレーション

コロナ禍、観光がNGになった時期に出された補助金を使ってのグランピング施設が、雨後の筍のように後をたちません。
ここ山梨では、森さえあれば景色も何もないところにまで出来てしまっているありさまです。
排水処理のための合併浄化槽設備を設置しないまま、生活雑排水を流してしまっているところまであり、困ったものです。

グランピング施設には、テント式のドームがあるところが多くあります。
そんなテントも数年で破れてしまい、長期での計画性のない施設はもちろん補修する費用もなく、よれよれでビリビリのテントドームが…
乱立したキャンプ場はだんだんと経営難になって行くでしょう。
今後はそういった捨てられたテント施設が日本中に出来てしまうのでは、とちょっと心配になってしまいます。

 

さて、そんなテントドーム。
建築としての構造はどのようになっているのか考えてみたいと思います。

丸い屋根面がテント生地のみで構造材(合板等)が張られていないため、ジオデシックドーム状のフレーム(軸材)だけで構造強度を保たせなければなりません。
しかしそれでも、実際はテント生地が張られていますので、全体に風を受けますし、雪も載っかります。
完全な球体、、、もしくは半球であれば強い形であっても、出入り口や窓を開けてしまうと、その外した部分の不安定さが、強度に影響してしまうことも考えられます。

 

前回に引き続き、強い強いと思い誤ってしまいがちな、ドームの構造強度・構造計算シミュレーションについて深掘りしてみましょう。

Miniドームにテント生地を被せると、作業が大変な屋根貼り仕事がなくなるため、簡易的なドームハウスを建てるには最適です。
でもMiniドームの直径は2間、3.6mしかありません。
そこで今回はグランピングにも使えそうな、直径6mドームでの構造計算シミュレーションを行ってみましょう。

雪が多く降るところでは、構造フレームの心配をするよりも前に、テントが雪の重みで破れてしまいますので、まずは雪が少ない地域にて計算を行ってみます。

フレームはツーバイフォーの規格、2×4インチ(38x89mm)、輸入ツーバイのSPF材より強度の高い国産「桧」で計算してみます。

 



結果は一目瞭然、あちこちに壊れてしまうNG表記が出てしまいました。

赤は危険、壊れてしまう、という意味です。
オレンジも危険、黄色は注意。
水色は周りよりも大きな力はかかっているが大丈夫。
青は安全です。

青い部分がほとんどありません。
木造ドームハウスの構造計算は、通常の鉄製フレームのトラス構造とは異なった結果になりますので専門家の方も注意が必要です。

安全性を確かめるには、構造計算通りに壊れてくれるかの「破壊実験」をしてみなければ分かりません。
私たちは、実験を繰り返し構造計算の精度を高めながら設計方法の開発を行ってきました。

2022年二回目の破壊実験

2022.07.02

 

さて、続いて雪国でのシミュレーションをしてみましょう。
3.5~4.5mの多雪地域。
雪の重みでテント生地は破れてしまいますので、テントの下に合板を張ることにします。

ここで大切なことは、合板に頼る構造計算は危険ですので、合板の強度はほとんど無いものとして計算します。

 

こちらがその結果。
直径6mの木造ドーム。
フレームは同じく強度の高い桧材ですが、材を太くして90x150mmとしてみました。


真っ赤っかですね!
やっぱりな結果です。
雪はあなどれません。

こんな風に多雪地域や強風地域では、高強度の設計が必要となります。

 

最後にこちら。
地震時のドームフレームの動きをシミュレーションした動画です。
やはり玄関ドアの開口を開けるために、ドームフレームを取り外したところに大きな力が加わっていることが分かります。
ドアとは反対側のフレームも動いていますので、開口のみというよりも、ドーム全体の構造バランスを考えることが大切ですね。

ドームハウスにご興味をお持ちの方へ

一人で家族のみの協力の下で始めた、森のドームハウス建設に始まり、
ドームハウスの専門家が集まり始めたドームドリーマーズを経て、
より多くの方々への情報を伝えるためのドームハウスインフォ設立に至りました。

 

お陰様でドームハウスの実績や活動内容も充実してまいりましたので、
カタログを制作してお届けすることができるようになりました。

ドームハウスにご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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一級建築士事務所 studioPEAK1(スタジオピークワン)代表。 山梨の県北、南アルプス山脈甲斐駒ヶ岳の懐に位置する白州町の森にて建築・設計活動をしています。白州に活動の場を移して十数年。この自然の中でしか感じることが出来ない事を学び吸収し、建築に反映してきました。技術力やデザイン力のみではなく、心からわくわくし、楽しくなる建築をめざし日々精進しています。