2022年二回目の破壊実験

2017年から始めた大学での破壊実験、
今年は国の補助金事業に選んで頂いたお陰で、
なんと2回目の実験を行うことができました。

6月終わりだというのに、今年はもう梅雨開け。
猛烈な暑さの中、教授をはじめ、助手先生、
研究室の学生さん達みなさんの手によって、
また新たなデータ取得のための実験を行って頂きました。

今回はすごいのです。

5種類の試験体を、各3体ずつ、合計15体。
この数はすごい!

 

実験は、何人もの方々の手によって行われます。

これやっといて、、、
と注文したら結果が返ってくるというものではなく、
何ヶ月も前から協議を重ね、
どういった試験体を用意し、
どうやって力を加え、
どこのデータを取り解析していくのか、
を教授の頭脳をお借りしながら進めて行くものなんですね。

もちろん実験当日は、
何人もの学生さん達にお手伝い頂きながら、
ミスが起きないよう、ケガのないよう、
何日も掛けて進めて頂きます。

 

緊張の中ミーティングを重ねた後、
さぁ実験スタートです。

試験体を実験器具に取り付けるには、
取り付け用の金物治具が必要で、
試験体だけで無くこういった準備も実験には必要になります。

そこに、センサーを取り付け、
どこの部位がどんな風に壊れていくのかを、
デジタルデータを取得しながら進めていきます。

 

この試験体、今回はなんと私の手づくりなんですね。
大工さんにカットしてもらった木材を、
一本一本ビス止め。
毎晩、夜8時頃から2~3時間、
コツコツ組立てたんですよね。

ビスを打ったり、合板を張ったり、アナログの手仕事です。
おぉーー、なかなか美しぃー
とか言いながら。
壊す物を何日も掛けて作るっていうのは、
なかなか無いですよね、、、

 

さて、破壊実験。
何が面白いかというと、
予測と異なる結果を得られる事にその醍醐味があります。

これくらいの力で、
こんな風に壊れるだろうと言うことは、
先生方もある程度予測して挑むのですが、
これはどうなんだろう、、、
と先生でも予測が難しい事があるんですね。

今回の実験は、思いの他そういった多くの発見があった実験でした。

 

また実験は、それだけのために行うのではありません。
収集したデータを解析し、
結果をドームハウスの構造設計に使用します。

いわば、構造計算を行うために実験データを収集しているわけです。

 

これまで行ってきた実験は、
全て押しつぶす「圧縮試験」でした。

しかし今回は 引っ張って壊す「引張り試験」。

ちょっとした建築雑学をご存じの方であれば、
「トラスは圧縮材ばかりの圧縮構造だから強い」
とお思いかと思います。

ドーム構造も、結局三角の集まり。
トラス構造なのだから、圧縮材ばかりになるから強い、
とお考えかもしれません。

しかしながら、
ドームハウスのトラス構造には「引張り材」となる部分が必ず発生してしまいます。
この引張り部分の安全性を確かめる研究が、
今回の引張り実験なのです。

私たちはドームハウスの専門家として、
世界中誰も分からないことまで探求を進めています。

研究室のみなさんと、八ヶ岳の現場見学会にて。

ドームハウスにご興味をお持ちの方へ

一人で家族のみの協力の下で始めた、森のドームハウス建設に始まり、
ドームハウスの専門家が集まり始めたドームドリーマーズを経て、
より多くの方々への情報を伝えるためのドームハウスインフォ設立に至りました。

 

お陰様でドームハウスの実績や活動内容も充実してまいりましたので、
カタログを制作してお届けすることができるようになりました。

ドームハウスにご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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一級建築士事務所 studioPEAK1(スタジオピークワン)代表。 山梨の県北、南アルプス山脈甲斐駒ヶ岳の懐に位置する白州町の森にて建築・設計活動をしています。白州に活動の場を移して十数年。この自然の中でしか感じることが出来ない事を学び吸収し、建築に反映してきました。技術力やデザイン力のみではなく、心からわくわくし、楽しくなる建築をめざし日々精進しています。