ドームハウスのデメリットの一つに、設計・施工の難しさがあります。
四角い基礎に四角い家を載せる普通の家では、現場で寸法を測る時、縦にも横にも、上にも下にも、まっすぐ計れば良いのですが、ドームハウスの場合、斜めに計らなければならないことが多くあります。
例えば、基礎工事。
きちんと予定通りのところに金物を設置したいと思っても、その位置に取り付けるのが至難の技。
出来上がってから埋め込むのであればまだ簡単ですが、コンクリートを打つ前に、空中のこの当たりに来るように、というような取り付け方をしなければならないこともあります。
「現場合わせ」で対応しますから、、、
という事だらけになってしまう可能性も。
「現場合わせ」とは、詳細設計を行わず、若しくは行うことが出来ず、作りながら現場で対応していく、という事を指します。
あー、ここの所うまく施工できないねー、とりあえず切ったり貼ったりしとこうか、、、と言った具合です。。。
そういった施工はよくないですので、現場に入る前に詳細設計を詰めておく必要があります。
具体例を一つ。
ホールダウン金物という基礎と建物を強固にくっつける金物があります。
アンカーボルトという物もありますが、アンカーとは異なるものです。
アンカーボルトは、短いボルトで、基礎と土台をくっつける金物。
対してホールダウン金物は、もっと長くて太くてしっかりした金物で、基礎と土台と建物を全て一緒にくっつけます。
普通の家では、柱に固定しますので、基礎を作る際に、柱が来る位置に埋め込んでおけば良いだけです。
しかしドームハウスの場合、基礎が12角形や15角形となり、コーナー部分が斜めになっています。
また、上に載る三角パネルも、パネル内のどの位置にでも金物を取り付けられる訳ではありません。
そこで、コンピューターによる3d(3次元)設計が必要となります。
今までも、CAD(キャド)と言い、コンピューターを使った詳細設計が行われていましたが、通常のCADは平面での2d(2次元)設計です。
紙に手で描くのと同じように、上から見たところと、横から見たところしか描けません。
3dでの設計は、一度、コンピュータの中で工事のシミュレーションを行うように図面を立体的に描きます。
一度、コンピューターの中で家をまるごと建ててみる、といったイメージでしょうか。
例えば、こんな感じ。
基礎の上に、 青色の土台を載せて、 その上に三角パネルを載せます。
そして、三角パネルのある部分に、目的のホールダウン金物を取り付けます。
ちょっとした、微妙な位置。
ここに金物が来るように、基礎に対してホールダウン金物を埋め込んでもらいます。
3d図面を分解しながら確認すると、、、
基礎を作っている基礎屋さんには、どんな形状のパネルが載ってくるのか分かりません。
現場監督も同様に、分かってはいても、細かい寸法までは分かりません。
そこで、設計者が詳細設計を行い、ミリ単位での指示を出します。
その全ての根拠が、3dでの設計によって求めた数字となります。
コンクリートを打ち込んで、基礎が出来上がったときに、所定の位置に金物が来ていることを確かめます。
設計通りに出来ているかどうかをその都度、確認しながら現場を進めていきます。
こういった施工のための設計を「実施設計」といい、質の高い家をつくる為にはとても大切な準備作業です。