小さなフラードーム小屋を考える(その3)

平面的な絵が描けたところで、次は立体的に考えてみることにしましょう。
立体的にと言っても、突然3d設計をすると言うわけではありません。
広さが決まったところで、高さ、縦方向のボリュームを考えていきます。
ドーム自体の高さ考察、と行きたいところですが、その前に土地がどうなっているかを調査する必要があります。
土地の立体考察ですね。

今回のプランでは、デッキの最長の巾が4間、つまり7.28mあります。
山に建設することを想定していますので、山の土地は大体が傾斜地。
斜めになっている土地です。
7mもあれば、土地に結構な傾斜が付いていることもあり得ます。
緩やかな勾配でも、広い土地の場合、目で見ただけでは土地の勾配がどれくらいあるのかつかむことが難しいです。

土地の高低差

2017.01.26

まずは現地で、建設場所の高さ関係を計る「高低測量」をしてみましょう。

正確に地面の水平を計るには、「レベラー」と呼ばれる目盛り入りの小さな望遠鏡が付いた光学器具を使います。
しかしここでは、特殊な機械は使わずにもっと簡単に調べる方法をひとつ。

使う物は長いホースと水、ホースをくくり付ける木杭(角材)と荷ヒモだけ。
ホースは測る距離プラス1m以上あれば良いでしょう。
適当で大丈夫です。
デッキの長手方向の巾が7.2mだとすると、8.5m以上のホース。
出来れば色の薄いものや、透明に近い物の方がいいでしょう。

まず、計りたい場所2カ所に木杭を立てます。
地面にしっかりと打ち込んでください。
その杭の地面から数十センチの高さの辺りに、ホースの口が来るようにくくり付けます。
もう一カ所の方も同じ様に。
横から見るとホースの形状がU字型になりますね。

このホースの中に、水を入れていきます。
あふれてしまっても大丈夫。
ホースの中の「水面」の位置を、くくりつけた棒に書き写します。
それぞれのホースの口部分の、「水面」の位置同士を結んだ線が、その土地でのホントの水平ラインとなります。

2本の棒に書き写した、「水面」ライン。
このライン同士を、ヒモでつなぎ合わせてください。
ヒモは、出来るだけピンッと張った状態にします。
垂れないようピンっと張るには、荷ヒモよりも建築用の「水糸/みずいと」を使うのが良いでしょう。
ナイロン製で引っ張ると伸び、10m張っても垂れ下がることがありません。

さあ、この7.2mの間をつなぎ合わせた水糸を離れた所から見てみましょう。
「糸のラインが、この土地の水平なんだ」と思いながら見ると、今までと全く異なった景色が見えてくるのではないでしょうか?

「デッキの上は、この線の辺りかぁ、、、」
イメージがふくらんできます。

水糸から地面までの高さを測ると、敷地の勾配をミリ単位で測定する事も可能です。
草が生えていたり、石があったり、デコボコしていたのでは計りづらいですので、平らに均してから作業をする方がいいですね。

 

ホースだけを使用するのではなく、片側だけに水をたくさん入れたバケツを使う方法もあります。
使用する水の量は増えますが、ホースの中に水を入れる作業が、バケツの中にホースを浸しこめば良いだけですので楽です。
ホースの中いっぱいに水を入れて、片方の口をつまんで空気が入らない様に注意しながら移動し、反対側の杭にくくり付けた後、ホースの中の「水面」が安定するまで数分間待ちます。
急がずゆっくりと作業をするのがコツですね。
意外と安定しませんので。

ローテクな水平調査方法

 

以上の水平調査の方法を「水盛り/みずもり」と言います。
古代の昔から、水を使った水平レベル出しをしていたそうで、寺院仏閣はもちろん、ピラミッドにも水を使った水平出しを行った跡があるそうですね。

 

さて、現地の高低差が分ったところで、いろいろとイメージを膨らませてみましょう。
例えば、もしここで20cmの高低差があったとします。
その場合は、水平のデッキを作った際に、デッキの端と端で20cmの高低差が生じてしまいます。
20cmというと階段1段分。
一方では階段3段、もう一方では4段上がらないといけない、ということになります。
階段3段は大体60cm、4段は80cm。
80cmとなると、階段がなければ上がれないですし、落ちると大けがをする事も考えられますよね。

例えば、もしデッキの縁に座って、ベンチのように使いたいと考えた場合は、その高さは40cmくらい。
もし階段ナシで一気に上がりたいのであれば、25cmくらいまで。
デッキの外から、デッキ自体をテーブルのように使いたいのであれば、70~80cmなければなりません。
地面がどれくらい水平かが分かると、どんな風に周りとの関係を作っていきたいかのイメージを、より広げていくことが出来ます。

もし急斜面で余りにも高低差が大きい場合は、高さの異なるデッキを階段でつなげるという考え方もあります。
土地から生まれるイメージを広げる作業の第一歩は、高低差を掴むことにあります。

わくわくする小屋 ツリーハウス案

2018.03.19

エネルギー自給型の小屋 と グランピングドーム

2018.03.19

さあ、いよいよ次はドーム本体のデザイン考察に入ります。

 

ドームハウスにご興味をお持ちの方へ

一人で家族のみの協力の下で始めた、森のドームハウス建設に始まり、
ドームハウスの専門家が集まり始めたドームドリーマーズを経て、
より多くの方々への情報を伝えるためのドームハウスインフォ設立に至りました。

 

お陰様でドームハウスの実績や活動内容も充実してまいりましたので、
カタログを制作してお届けすることができるようになりました。

ドームハウスにご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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ABOUTこの記事をかいた人

和田 啓宏

一級建築士事務所 studioPEAK1(スタジオピークワン)代表。 山梨の県北、南アルプス山脈甲斐駒ヶ岳の懐に位置する白州町の森にて建築・設計活動をしています。白州に活動の場を移して十数年。この自然の中でしか感じることが出来ない事を学び吸収し、建築に反映してきました。技術力やデザイン力のみではなく、心からわくわくし、楽しくなる建築をめざし日々精進しています。