海外のサイトで、「ジオデシックドームを建てる5つの素晴らしい理由(5 great reasons to build a geodesic dome home)」というタイトルで、ドームハウスの良さがまとめられていました。
その5つとは、
- エネルギー効率(Energy Efficiency)
- 災害を防ぐ(They’re Disaster-Proof)
- 伝統的な住宅よりも安い(Cheaper to Build than Traditional Houses)
- 無限のデザインの可能性(Endless Design Possibilities)
- 壮大に見える(Dome-Shaped Homes Look Spectacular)
この辺のメリットは、よく海外の記事でも書かれていることですが、日本の環境や法律に当てはめた場合、どうなるか、簡単にまとめてみました。
1.エネルギー効率
球は、最も効率的に形状表面積量が最も少ないです。そのため、同様の大きさの長方形の家と比較すると、ドームの家は、30%未満の表面積に抑えられるとのこと。ですが、ドームハウスが少ない材料だったとしても、矩形よりも約5倍強いと書かれています。
エネルギー効率に関しては、建物の形以上に、仕様とする断熱材や、施工精度も影響してきます。その辺りの質をケチってしまえば、たとえドームの形であっても、エネルギー効率の悪い建物になってしまうでしょう。断熱材は各メーカーが競争し、性能の高い商品が多々あるので、困ることはないですが、施工技術に関しては、大工や職人の腕に左右され、なかなか代えがきかないです。ドームハウスの構造を理解した上で、技術力の高い大工や職人はそうはいないのが、日本での課題ですね。
2.災害を防ぐ
紹介している記事の中では、1989年に起きた大地震で多くの家が破壊されたり大規模な修理が必要とされる中、ドームハウスは唯一無事で、地震の被災者のための避難所とされたようです。さらには、地震、竜巻やハリケーンなどからも生き延びてきました。
理由としては、構造のフレームが三角形でできていることを挙げています。三角形は最強の形状と言われており、正方形の形状は歪み曲りやすいですが、三角形の形状だと歪まず曲がりにくいのです。これは海外でも日本でも同じですね。
地震に対しての強さは、熊本地震で被災した熊本県南阿蘇村にある健康テーマパーク「阿蘇ファームランド」内の宿泊施設「ドームハウス」で実証済みですね。地震を受けてもほとんど損傷せず、避難所として機能しました。この施設のドームハウスは、私たちが提案しているドームハウスとは少し異なりますが、ジオデシックドーム構造自体、世の中で一番強い構造体「球」に最も近い形であるため、ドームハウスが強い理由でもあります。
3.伝統的な住宅よりも安い
記事の中では、ドームハウスは表面積が少ないから、これまでの住宅よりコストも安い。という見解なのですが、この辺は日本では微妙ですね。
平屋のドームハウスや、安い仕様・つくりであれば、1,000万円を切ることもできるでしょう。しかし、日本の高温多湿で雨の多い気候だと、雨仕舞を考えると、下手なつくりにはできません。使う材料は少なくても、その一つ一つの技術や質は高いものを選択することが望ましいです。また、ドームの形状は、普通の総二階の住宅より、1階の面積(建築面積)が広くなるため、基礎でコストが掛かりやすいです。
なので、家の安さを優先するなら、普通の総二階のローコスト住宅にされるのが無難です。
4.無限のデザインの可能性
記事の中では、デザインの可能性はほぼ無限大と書かれています。きちんとした構造設計をすれば、よけいな柱や梁がいらなくなるため、オープンに開かれた空間を実現できます。そのため、どの位置でも壁をつくったりなくしたりが可能になります。さらには、外部への大きな開口部や窓も可能です。
ですが、間取りの自由度がありすぎるため、プロの設計力の影響が大きく現れてきます。壁が丸い(多角形な)ドームハウスですから、ドームハウスに慣れていない下手な設計だと、せっかくの自由度の高い空間の良さを殺しかねませんよ・・・
5.壮大に見える
外観のデザインに関しては、ドームハウスは丸いので、店舗でも住宅でも目立ちますよね。ただし同じ丸さであっても、外壁材に何を選ぶか、窓の位置やデザインをどうするかなど、細かい部分の設計によって、見栄えは大きく変わります。