井戸の話

今日は井戸のお話です。

以前、「自分の時間を生きる」と題して「森に住もう」という話をしました。
お気に入りの森を手に入れて、小屋を建てて、自分の時間を過ごす。
自分の時間を生きるために、、、というお話。

自分の時間を生きる(その1)

2020.01.13

海、山、森、田舎暮らし、森暮らし。
都会から離れた自然の中で過ごすのも、コロナ禍の、コロナ後の働き方として、リモートワークが可能な職種が増えたことによって現実味が出てきた人も多いのではないでしょうか。

私の場合は、自然豊かな田舎に移り住むことが先に目的としてあったため、結果としてリモートワーク的な生き方になってしまったのですが、そういう人生もありですね。

さて、自然の中で暮らす為に最も大切な条件に、その土地のインフラがどうなっているのか、という問題があります。
「衣・食・住」の中でも、生きるために最低限必要となるのは、エネルギーです。

特にインフラは、後から自分で工事をして整えるものと、最初から土地に付いているものに分けることが出来ます。

上水道と下水道は、必ず土地に付いているものと思ってはいけません。
都会でしか暮らしたことがないと、当然どこにでも電気、水道、下水は土地に付いていて、付いてない土地なんか売っていないと思っている方が多いことに気が付きました。

建築設計をしている専門家でも、街中での家づくりしか経験したことのない方で、全くご存じない専門家?も居たくらいです。
自然の中の土地を買う場合、この辺りの知識はかなり大切です。

不動産屋さんは、売っている全ての土地を自分で持っている訳ではありません。
誰かが持っている土地を、転売していることがほとんどです。
転売の土地の場合、その土地の歴史を知っていることはごく希。
昔、その土地がどういった使われ方をしていたかとか、どこに水道管が入っているかとか、売り主の不動産屋さんが知らないことは普通にあります。

その際は、土地の重要事項説明書に書いてあります。
単独の井戸が掘ってあるよ、とか、目の前の道路まで公共の上下水が来ているので、つなげれば使えますよ、といった具合です。

大自然の中の安い土地の場合は、公共上下水が整備されてなくて、井戸もない土地だったということはよくあります。
その場合は、井戸を掘ってくれる場合もありますが、多くは土地を買った人が自分で掘らなければなりません。

井戸を掘るのは、家をつくるくらい大変です。
正に専門家による仕事。
普通は井戸屋さんに頼みます。

地中にある水中ポンプの交換

井戸には、「浅井戸」と「深井戸」の2種類の井戸があります。
昔話に出てくるような、上からのぞくと水がたまっている、人が入れるような大きな穴の井戸は、今では使用しません。
穴を掘り下げていくのは同じですが、ボーリング工事といい、直径10cm~25cmくらいの管を、地面の中にぐるぐる掘りながら埋め込んでいく工事をします。

くみ上げ用、給水配管の取り換え

 

通常4mの長さの鉄管をつなぎながら、地面の中に入れていきます。
浅い場合は10mくらい、深いところでは100mもの深さまで、地中に管を入れ、その管の中に貯まった水をポンプで吸い上げます。
これが現代の井戸。
地上部に水面が見えるような穴はありません。
見た目も全く井戸のようには見えないものなんですね。

 

 

メンテナンスや管理を行う上で必要となる知識をもう少し。
この井戸、水を吸い上げる方式として、地上ポンプと地下ポンプの2種類の方式があります。
浅井戸の場合は地上ポンプ。
管の上から吸い上げます。
しかし深さが8mを越えて深くなると、深い地中から水をくみ上げるのに、大きな動力が必要になります。
そのため8mより深い場合は、管の中、地中深くに入れ込む水中ポンプを使用します。
円筒形の細長い井戸用のポンプがあるんですね。

コンクリートの箱は、車にひかれないように間の保護のみ。 中に水はありません。

地中100mで働き続けてくれる、水中ポンプ!  がんばれー!!

50mの井戸であれば、48mとかの地面下のずっとずっと下の方にポンプが入っています。
ポンプには吸い上げ用の配管が付いています。
50m近くの配管とその下に鉄の塊の水中ポンプとなると相当な重量になりますので、設置するのも、交換するのも、大変な作業。
ヤグラを組んで、クレーンを使っての設置作業になります。

このポンプ、電気で動くモーターが入っています。
蛇口から水を出す度にスイッチが入り、水を吸い上げるためにモーターが回る。
若しくは、地上のタンク内に貯水している水が少なくなるとスイッチが入り、吸い上げる。
つまり日に何度も動いたり止まったりを繰り返しています。
動く物には寿命があります。
井戸のポンプの寿命は大体20年。
20年毎に交換しなければなりません。
地中のポンプだけでなく、それを動かす為の電気回路、コントローラー部分が壊れることもあります。
倒木、落雷、漏水、ネズミ、いろいろです。

特に高額なのは水中ポンプ。
運用管理が悪いと、5年で壊れてしまう、と言うこともあります。
30年も40年も壊れることなく動いてくれることもあります。
壊れてしまうと勿論水が出ません。
水が出ないと暮らせませんので、いつでも交換工事をすることが出来るだけの管理費を積み立てておく必要があります。

 

もし、井戸付きの別荘地で、井戸の管理費の支払いがない場合は、壊れた時に金銭的なトラブルが必ず発生します。
井戸ポンプの交換は100万円前後も掛かることになりますので。
これは土地をとにかく売りたい、という不動産屋さんは教えてくれません。
と言いますか、そこまで教えなければならない義務はないのかもしれませんね。

そうすると、重要事項説明書には井戸あり、と表記してあるため水は大丈夫、と安心してしまうのは、まだちょっと早いということになります。
管理がどうなっているのか、毎月の管理費は、ポンプ交換時の負担金は、と言ったことを確かめましょう。

悪意ではなく、全くこういったことを考えていない不動産屋さんも多く居ます。
住む人が勝手に自分でやることだから、と何も教えてくれないことも多いでしょう。

その場合は、10年後、20年後に、自分で費用を負担して水中ポンプの交換をしなければならないと思って間違いありません。
井戸の深さによって費用は異なりますが、5万10万では交換できませんので、しっかり把握しておく必要がありますね。
特にひとつの井戸を共同で使っている別荘地などは、みんなでの負担となりますので、金銭トラブルの元ですね。

住民自治の場合、複数人をまとめなければ井戸管理は出来ません。
不動産屋さんや設備業者さんが井戸の管理組織をつくっている場合もあれば、住人だけで自治管理をしているところもあります。
ウチの井戸は、私が会長となって管理をしてくれない不動産屋さんから全井戸施設を買い取り、自治管理を始めた経緯がありますので、弁護士さんが必要となるような非常に面倒なケースもあるよ、というのは身近な話なんですね。。。(^^;

 

しかしそれでも自分の水源を持つというのは良いものです。
水、使い放題。

都会のカルキ臭い水とは大違い。
あのコンビニに売っている南アルプス天然水が水道から出てきて、飲めるだけでなく、お風呂も南アルプス天然水なんですから。

健康はまずは水から!
ですね。

ドームハウスにご興味をお持ちの方へ

一人で家族のみの協力の下で始めた、森のドームハウス建設に始まり、
ドームハウスの専門家が集まり始めたドームドリーマーズを経て、
より多くの方々への情報を伝えるためのドームハウスインフォ設立に至りました。

 

お陰様でドームハウスの実績や活動内容も充実してまいりましたので、
カタログを制作してお届けすることができるようになりました。

ドームハウスにご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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ABOUTこの記事をかいた人

和田 啓宏

一級建築士事務所 studioPEAK1(スタジオピークワン)代表。 山梨の県北、南アルプス山脈甲斐駒ヶ岳の懐に位置する白州町の森にて建築・設計活動をしています。白州に活動の場を移して十数年。この自然の中でしか感じることが出来ない事を学び吸収し、建築に反映してきました。技術力やデザイン力のみではなく、心からわくわくし、楽しくなる建築をめざし日々精進しています。