震災以来、家で使う電気について考えることが多くなりました。 電気は水と同じく、何も気にすることなく家に来ると思っていたものが、計画停電のせいかお陰か、来なくなることがあるんだと考えるようになりました。 そればかりか、農作物のように自分で作って使うことや、備蓄食料のように、貯め置いておくことすら考える社会になってきたのではないかと思います。
エネルギーは、買う以外に「自分で作る事」と、「蓄えておいて自由に使う事」の二つの要素が家庭にも存在するようになりました。
ソーラーパネルで発電する「創エネ住宅」という言葉まで生まれましたが、ソーラーパネル発電の電気は、そのまま家の中で使うことはできません。
たとえ屋根の上で大量に発電していたとしても、その発電分はその場では使うことなく電力会社に売るしかありません。 売電しながら、今使う電気を買って使うというシステムです。
売ったのがいくらで、買って使ったのがいくらなので、結果としてエネルギー自給型の暮らしができているよ、という仕組みになっている訳です。
では自分でその電気を蓄えたい、と思ったらどうすれば良いのか。
家にいないときでも太陽は燦々と照っていて、ソーラー発電パネルさえあれば黙っていても電気は生まれます。 使うのは夜帰宅した後。
そう考えると、大きなバッテリーに電気を貯めておき、後で使いたいものです。
ここで、問題となるのが「交流」vs「直流」問題です。
コンセントに流れているのは、「交流」です。
バッテリーは、小さな電池でも、大きなバッテリーでも、全て「直流」です。
家の中の家電は、天井の照明器具も含めて、全て「交流」用。
「直流」のバッテリーでは動かないし、点きません。
でも、「交流」は蓄えることができない。
やっかいなのです。
そのため、使えるように規格を合わせる様に変換してやる必要があります。
「交流」を「直流」へ、またその逆もあり得ます。
例えば、携帯電話やノートパソコンは、電池で動いていますので「直流」です。
しかし、コンセントから充電できなければならないですので、アダプターを間に入れて、「直流」へ変換して充電しています。
黒くて四角い重たいものがくっついているコンセントプラグって、家の中にたくさんあると思います。 あれが変換アダプター。 インバーターと呼びます。
携帯電話やノートパソコンでは、コンセントからの「交流」の電気を、電池と同じ「直流」に変換しています。
変換アダプターはどれもほんのり熱くなっていますよね。
内部では、「交流」を「直流」に変換しながら、同時に「熱」にも変換されてしまっているからなのですが、変換時に熱が必ず出るんです。 これ、熱もエネルギーですので、変換する際に熱としてエネルギーを捨てていることになります。
ソーラーパネルを載せた「創エネの家」の場合、屋根の上で「直流」を生産し、家の中で何割か捨てながら「交流」に変換し、電力会社に売電する。 電線を通って流れてくる買った「交流」電気は、変換アダプターでまた何割か捨てながら「直流」に変換して家電で使う。 こういうシステムなんですね。
捨てるのはもったいないですので、「直流」を変換することなく「直流」で使う仕組みってないんでしょうか。 実は身近にあるんです。 車は「直流」で成り立っている世界です。 エンジンでモーターを回して発電し、バッテリーに蓄電し、「直流」の照明を点けたり、カーナビやオーディオ、コンピュータを動かしたりしています。 (正確には、発電機やモーター内部は交流) 車の中で携帯に充電することなどは、日常的に行っている人もいます。 車のようなシステムを家の中で使えば、ソーラーパネルで発電した電気を、そのまま使うことができます。
なんだか妙なことを考えているように感じるかもしれませんが、省エネ先進国のドイツでは、車と同じ「直流」専用の、家庭用電球が既に使われているそうです。 問題は蓄電用の家庭用バッテリーがまだまだ高価だということです。 車用の鉛電池式バッテリーは、安価であっても、大きく充放電を繰り返す家庭での使用には向いていません。 充電する際にロスも出ます。 ロスが少なく、充放電を繰り返しても問題のないリチウムイオン電池は、電気自動車用には出回っていますが、まだまだ家庭用のものが少なく高額です。 船やフォークリフトなどに使用されているディープサイクルバッテリーは、大きく(深く)繰り返される充放電に向いていますが、やはり高価です。 そういった特殊な商品は、需要がなければ大量生産されませんので、なかなか安くはなりません。 もう少し社会がこういった考え方になってくれるのを待つしかないですね。
そこで!
廃棄する車用のバッテリーを使って、簡易的な蓄電システムを作ってみました。
単に廃棄するバッテリーをではなく、何度かバッテリーを上げてしまって、充電出来なくなり使えなくなったバッテリーを復活させて、、、なのです。
続きはまた次回。