雨が続き、日に日に寒さが増していく今日この頃ですね。
稲刈りが終わると、一気に秋から冬の景色になってしまったようで、一層寒く感じます。
でもしかし、冬は冬の楽しみがやってきます!
生活の中に楽しみを。
日々の中に喜びを、、、な田舎暮らしでは、暖を取るのも楽しくしたい。
ということで、また薪ストーブの季節がやってきました。
施工しながら住み始めた我が家では、工事中に出てくる木っ端(こっぱ)やゴミを燃やしたいという要望がありました。
高性能なストーブは、内部構造が複雑でデリケートなところがあったりしますので、乾燥していない薪やゴミを燃やしてしまうと、ストーブの寿命が極端に短くなってしまいます。
そのため、初代ストーブは焼却炉としての機能を優先させることにしました。
焼却炉ですから、ゴミでも泥付きの木の根っこでも、なんでもガンガン燃やせるものが良いです。
薪ストーブは鉄で出来ていますが、この鉄、大きく分けると2つの種類に分けられます。
一つは「鋳鉄」ちゅうてつ。
鋳物(いもの)です。
これは、どろどろに溶かした鉄を、型の中に流し込んで形を造ります。
もう一つは「鋼鉄」こうてつ、スチールです。
製鉄所で作られた純度の高い鉄板を、そのまま使って造ります。
前者の鋳物ストーブは、蓄熱効果が高く冷め難い特徴がありますので、中の火が消えても、じりじりと暖かさが続きます。
薪をくべ続けなければならないストーブにはもってこいの材料ですね。
本体に曲線の装飾を施したり、黒だけでなく、茶色や赤色にホーロー処理された美しい造形が特徴で、正面ドアのガラスにも、花のように美しい曲線のガードが付けられていたり、ドラゴンのステーが付けられているストーブまであり、その高級感と美しさには憧れてしまいます。
しかしそんな鋳鉄ストーブにも悪い面があります。 ホーローの筐体はショックに弱く、表面が欠けてしまうことがあります。
ホーローが割れてしまうと、内部の鉄が露出し錆びてしまう為、物をぶつけないように気を付けなければなりません。 また、急激な温度上昇は鉄を痛めてしまうため、ヤニの多い根っこやゴミをガンガン燃やし続けることは出来ません。
そんな扱い方をしてしまうと、鉄が割れてしまうことがあります。
上に掛けているヤカンの水を吹きこぼしてストーブ本体のホーロー部分にかけてしまうのも問題です。
鋳鉄のストーブは溶接が出来ないため、上下左右、鋳物のパネルをボルトで締め合わせる事によって造られています。
パネル同士が合わさる部分は、燃えないヒモ状のガスケットとストーブセメントにより密閉されており、数年毎に分解し、これらのパーツを全て取り替える「オーバーホール」をストーブ屋さんにお願いしなければなりません。
車を2年毎に車検に出し、古い車になるといろいろと部品を交換しなければ、購入当時の燃費や安全性を保てない事と同じですね。
対して後者の鋼鉄ストーブは、中の火が消えてしまうと、すぐに冷えてしまいます。 火が燃え続けていないと寒く感じます。
鋼鉄は鉄板をそのまま使って製作するため、ほとんどのパーツが真っ直ぐ、まっ平ら。 直角に板を合わせ、溶接をすることによって作ります。 板同士を溶接してある場合、隙間が生まれません。 半永久的に気密性が保たれることになりますので、広いガラス付の扉や可動部分以外の、完全分解清掃やオーバーホールを行う必要はありません。
また鉄の塊ですので、少々手荒に扱っても大丈夫です。
煙突さえ守ることが出来れば、ゴミや木っ端を燃やしても大丈夫です。
周りが痛んでくれば、ヤスリで削って錆を落とし、スプレーで塗装をし直すことだって可能です。
ゴミを燃やして暖をとることが出来る。 これも良いですね。
最初に入れてもらったストーブがこちら。
なんと、トラックのホイールを溶接し、つなぎ合わせて造ったホイールストーブです。
曲線がかわいらしい小型の薪ストーブ。
これは、製作をお願いしているストーブが出来上がってくるまでの代替品としてお借りしていたストーブです。
燃焼室が狭いですので、大きな薪を入れることができません。
また、薪投入口の扉が鉄板ですので、中の火を見ることができません。
ちろちろと燃えているのか確認しようと扉をあけると、空気がごぉぉぉぉーっと入ってしまい、大火になってしまい、チロチロの火を確認することもできません。
窓が無いため、次の薪投入のタイミングを逃すことも多かったです。
しかし小さいストーブの良さはすぐに暖まること。
大きなストーブは、ストーブ自体が暖まるのに時間がかかります。
炉の内部が高温にならなければ、火が安定しませんが、
小さなストーブはすぐに巡航運転に入れます。
そんな、最初の小さな薪ストーブですが、
家の中に火があるというのはとても大きな喜びでした。
火の周りに子供達は集まり、小さなホイールの中の熾火で餅を焼き、みんなで楽しみました。
設置前、出来立てのストーブは、まずは外で慣らし運転(燃焼)を行います。 一気に高温にすると鉄に良くないとのことで、薪1~2本だけを燃やして、低温でストーブの周りの塗装を焼きます。 一晩置いて完全に冷えるのを待ち、また同様に薪1~2本の慣らし運転。 冷えるのを待ち、いよいよ本格運転が出来るようになります。
木っ端に火を付け、その火を枝に移します。 パチパチと枝のはぜる音が家の中に響き、だんだんと周りが暖まってきます。 30分ほどすると、火は上に載せた薪に燃え移り、ストーブの表面温度が100度を越え始めると、ストーブ本体や煙突が熱で伸び、キンッ、キンッ、と音を立て、家中に暖かい空気が循環してきます。
コンクリート土間に集めておいた木っ端が、どんどん無くなっていくと同時に、家中が暖かくなる。 火を見ながら、上に載せた圧力鍋で、コトコトと、シチューが出来上がるのを待つ時間。 いつもと異なる時間が流れている気がします。
そんな特別な時間を作り出す装置が、薪ストーブなのではないかと思うのです。