セルフビルドを始めようとしたけれど(その4:出会い)

遡って二十数年前。

東京のアパートの小さなベランダで、
こつこつと三角を作って山に運べば、
いつかはドームが出来るんじゃないかと夢見ていました。

週に1枚作れるとすれば、月に4枚。
フラードームに必要な60枚作るには、15ヶ月。
たったの1年ちょっとじゃないか、
などと夢想していました。

 

週末毎にキャンプ道具を車に乗せて、
2歳の息子を連れ、東京から甲州街道を西へ西へ。
山梨の北部、八ヶ岳や南アルプス山麓でキャンプをしながら山で過ごす週末が続いていました。
その内、ホントにそんなことが出来るんじゃないかと思うようになってきました。
開発された別荘地は別として、東京の生活に慣れてしまっている者にとって、里山の物価は格安です。
土地が数百万で手に入る。
場合によっては古くても家まで付いてくる。

しかし設計修行中の若造にそんなお金はありません。
まずは田舎に移住し、生活の基盤を作ることからスタートすることにしました。

白州の森の中にテントを張り、そこを拠点に活動をする。
焚き火をしながら、
ランタンの下で子供に晩ご飯を食べさせ、シュラフで寝る。
翌朝テントでスーツに着替えて、飛び込みでもらってきた設計仕事をしに子連れで役場に出向く。
初めはそんなスタートでした。

 

ある時、森の奥、林道を散歩していると、
小さな手作りのドームハウスがあるのを見つけたのです。
ベニアで作ってあり、その上にブルーシートをかぶせてある。
まさにセルフビルドのドームハウスです。

敷地内には、他に作りかけのログハウスやプレハブ小屋、
仕上げてないベニア張りの小屋。
熊笹が生い茂る斜面に5~6棟、転々と点在しています。

真ん中に焚き火場があり、外部キッチンシンクと水道もある。
まるでキャンプ場のような雰囲気です。

誰もいなさそうなため、そっと敷地内に入り、
ドームハウスに近づいてみました。

小さい。
直径5mくらい?

南面には大きな掃き出し窓もあり、
完成してはいないものの、家として既に使っているようにも見えます。

へー、自作のドームか。
ベニアで作ってるんだなぁ。
軸材はどれくらいの断面なんだろう?

と外からジロジロとのぞき込んでいると、
誰もいないと思いこんでいたドームの中から、人が。

「んー? 何かご用?」

「あ、え、いや、すみません。 誰もいないと思って、、、」

たばこを片手に、頭に銀縁めがねを載せて出てきたのは、中年のおじさんでした。

「ドーム、すごいですね。 手作りなんですね。」

「そー。 見る?」

「え? いーんですか? 中、見せて頂けるんですか?」

「良いよ、自分で作ってんだよ。」

「ですよね、やっぱり。」
「設計はどうされたんですか?」

「あー、計算の仕方が本に載ってんだよ。」
「どうやったかって、んー、忘れちゃったなあ。 基礎はほら、見えるでしょ。 下にドラム缶があるでしょ。 あれにコンクリート流し込んでねー」

「ドラム缶、、、そんなので建つんですか!?」

「あー、まぁ、そうだね。 建つっていうか、載せてるっていうか。」

トラスの骨組みにしている材ですが、、、
屋根の防水は、、、
玄関ドア部分のパネルって、、、
掃き出し窓付けるのに、パネルとの取り合いって、、、

初めての出会いなのに、あれこれと話が弾んだ数時間でした。
共通の話題、共通のドームハウスという趣味。
楽しくて、それから何度も通いました。

そんな縁があり、その後、彼らの土地にテントを張らせてもらえることになったのです。

そんなセルフビルド・ドームとの出会いが、私の人生を変えてくれた最初の一歩だったのでした。

ドームハウスにご興味をお持ちの方へ

一人で家族のみの協力の下で始めた、森のドームハウス建設に始まり、
ドームハウスの専門家が集まり始めたドームドリーマーズを経て、
より多くの方々への情報を伝えるためのドームハウスインフォ設立に至りました。

 

お陰様でドームハウスの実績や活動内容も充実してまいりましたので、
カタログを制作してお届けすることができるようになりました。

ドームハウスにご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

catalog

ABOUTこの記事をかいた人

和田 啓宏

一級建築士事務所 studioPEAK1(スタジオピークワン)代表。 山梨の県北、南アルプス山脈甲斐駒ヶ岳の懐に位置する白州町の森にて建築・設計活動をしています。白州に活動の場を移して十数年。この自然の中でしか感じることの出来ない事を学び吸収し、建築に反映してきました。技術力やデザイン力のみではなく、心からわくわくし、楽しくなる建築をめざし日々精進しています。