セルフビルド「成功の秘訣」
自分で家を建てる。
時間とお金があれば実現したい夢の一つです。
DIY家づくりの本がいろいろと出ています。
しかし最初の最初である基礎の項目から、もう既に、これ無理なんじゃない???と感じてしまいます。
というのも基礎はコンクリート。
どうやって形作れば良いのか、全く見当がつきません。
柱を立てて、べニアを張ってと言う上物の大工作業であれば、まだ想像がつきますが、コンクリートの構造物となると想像すらつきません。
コンクリートの基礎の中には、鉄筋が入っています。
鉄筋を組んで、型枠を作って、中に生コンを流し込む。
でも、型枠ってべニア?
生コンって生のコンクリートってこと?
セルフビルダーにとって、基礎は想像がつかない世界なのではないでしょうか。
そこをクリアーしないと木工事には入れません。
やっかいですね。
他にも様々なブラックボックス的な要素があります。
防水工事や、板金工事など、普段目にすることのない工事内容がたくさんあります。
そこで私たちが推奨しているのが、ハーフビルド。
半分、プロにやってもらって、出来そうなところだけを自分たちで施工する方法です。
大型重機が必要な土木工事や、専門知識が必要なコンクリート工事、失敗すると大変なことになってしまう防水工事などはプロにお願いし、ドームパネルの組み上げや内部の大工工事、内装、家具工事など、出来そうな楽しそうな所のみ自分たちで施工する方法です。
何の工事をプロにやってもらい、何を自分たちでやるか。
「分離方式」とか「分離発注」と呼びますが、まずは工事内容や工事の責任等を分けて考えることから始めます。
基礎が大変そう、というのであれば基礎屋さんの基礎工事をプロにやってもらう。
時間をかけて自分で作ろうと考えた場合、ドームパネルを組み上げたは良いがなかなか防水、屋根工事が進まないのでは折角の構造体が傷んでしまいます。
屋根もプロに任せたいとなると、屋根工事や板金工事を分離する。
ドームパネルを組み立てたり、屋根を掛けたりするには足場が必要になりますので、仮設工事がその前に必要になりますが、どこにどうやって頼むものなのか分からない、ということもあるでしょう。
そうやって工事全体の計画を立てて行きます。
しかし、もしかすると計画を立てる事自体難しいかもしれません。
本には書いてあれど、ネットで調べても誰に頼めば良いかまで調べられるものは滅多にありません。
例えメールや連絡先を見つけることが出来たとしても、本当に安心できる工事をしてもらえるのか。
出てきた見積価格は正当な額なのか、全く判断がつきません。
そこで、いろいろな相談に載ってくれるアドバイザーが必要になります。
アドバイザーとなり得る方は工務店さん。
それもあなたの地域で活躍している工務店主さんに限ります。
家づくりは、物だけを作ることを主とすると失敗してしまいます。
建設工事は大工さんをはじめ、基礎屋さん、左官屋さん、板金屋さん、電気屋さん、設備屋さん、建具屋さん、etc…本当に様々な職種の方々の知識と経験、努力の上で成り立っているものです。
その地域独特の慣例があったり、そこでしか通用しない方法や上手いやりかたと言うのもあります。
例えば、寒冷地や標高の高い地域の施工は、温暖な地域でしか仕事をしていない施工者には全く経験のない問題が発生したり、見たこともない器具を使ったり、と枚挙にいとまがありません。
細かく職種が分れているのにもそれなりの理由があります。
サッシ屋さんと建具屋さんって、同じドアを扱っているのにと思いますが、違う職種です。
そんな専門家たちの専門職を、上手く分けて順番に並べて仕事をしてもらうのが工務店主の仕事になります。
それだけ多くの人のお世話になるには、なかなか素人だけでは難しい。
ここは是非とも地域の有力な工務店主さんにお手伝い頂きたいところです。
昔、様々な建築仕事を取りまとめている方を、「棟梁:とうりょう」と呼びました。
現在では大工さんの親方の事を棟梁と呼びますが、会社組織としての工務店がない時代、棟梁は地域の職人さんや材料、資金、工法、衣食住に至るまで様々なことを統率していた、総合的に高い能力を持った方だったのだと思います。
家づくりに必要なことは、単に材料を買ってきて組み立てるだけではありません。
自分では解決できないことが多くあります。
そんな棟梁の能力を持つ方が必ず地域地域にいらっしゃいますので、そういった方の協力を得る事がセルフビルド「成功の秘訣」です。