11M センターキッチン案

11M西入りドームハウスの新提案です。

先日のプランは設計の定石通りのプランニングでしたが、今回はちょっと斬新な案にしてみました。

ドームハウスに関わらず、家の設計を行うにあたり、大切なことが幾つかあります。

光がどこから入り、風がどこへ抜け、人がどこを通り、目線がどこへ抜けるか。

そんなことを図面の中で考えながら線を引いていきます。

マンションでは窓のない空間が出来てしまうことは仕方がないことですが、一戸建ての家の場合は、全ての部屋に必ず窓を付けたいです。

海外の家のプランを見ると、浴室やトイレに窓がない家を多く目にします。

特に北米の住宅は、マンションは勿論、木造の一戸建てであっても、セントラルヒーティングが普及しているからなのでしょうか。

しかし、湿気が多い日本では、快適な住まいを作るには、窓が欠かせません。

北側に行ってしまいがちな浴室やトイレに窓があると、適度な換気が出来るだけでなく、気持ちも良いものです。

このプランは、そんな全ての個室に窓を設ける決まりを遵守しつつも、天井高の高いドームハウスらしいダイナミックな空間構成を実現したものになりました。

題して「センターキッチン」。

一家の中心はお父さん、、、ですが、家の中心はお母さんだったりしませんか?

家の中で働くことが多いお母さん(奥さま)が快適に過ごせるよう、キッチンをドームハウスの中心に配置しました。

シンク前に立つと、TV、薪ストーブ、そして大きな掃き出し窓からの景色を眺めることが出来ます。

子供たちの宿題も、キッチンカウンター越しに見てあげられる。

大きなコの字形キッチンカウンターは、お友達や家族でお料理をするのにも適しています。

これならば、パーティーでも、キッチンの中の人だけが仲間外れになってしまうこともありません。

パン作りにピザ作り、うどんにそば打ちなど、広いテーブルが必要な作業も大丈夫。

広いキッチンも物があふれてしまうと台無しですので、広いパントリーも設けました。

こちらはドア付きの個室ですので、暖気が入らないようにし、食品庫とすることも出来ます。

このプランのもう一つの特徴は、キッチンの上にある2階ホール。

5帖半ほどの広さのホールはドームの中心にあるDEN(デン:隠れ家、穴倉、巣)。

ドームハウス自体がDenのような安全地帯ですので、Denの中のDenですね。

Denとは、いわゆるプレールーム。

本を読んだり、ゲームをしたり、散らかしても叱られない子供たちの遊び場空間、というのも良いかもしれません。

ドーム天井の反響を利用した、映画や音楽のリスニングポイントというのもおもしろそうです。

リビングから見上げたとき、下にキッチンの「巣」があり、上にDenの「巣」がある。

この2層構造が、立体的にとても面白いと思うのです。

そして2階には寝室が2つあります。

各寝室内のクローゼットの考え方も、ドームハウスらしい個室のあり方を考えてみました。

半球の天井下にある2階空間は、ドーム外周に近づくほど天井が低くなっていきます。

また、仕切壁が天井とくっつく場所が、全て斜め。

そのため、なるべく2階には仕切り壁を造らない方がすっきりします。

造作に手間がかかることもありますが、下がってくる天井のせいで窮屈な感じを受けてしまいます。

折角天井高が高いのに、狭苦しく感じる。

これを避けるためには、仕切を極力無くすことです。

寝室1のベッドの頭部分に仕切壁がありますが、これも天井まで届かせる必要はありません。

後ろのクローゼットが見えない程度の高さで良いのではないかと思います。

また、出来れば寝室2の方は、Denとの間の壁も無くしてしまい、ロフトのような使い方にする方が、ドームらしい部屋になりそうです。

ドーム天井を、垂直な間仕切り壁で仕切ってしまわない方が、よりダイナミックなドームハウスらしい家になるのではないかと思います。

最後にもう一つ。

このドームハウス、屋根を構成している「球体」の中心も、キッチンの中にあるんです。

全ての中心がキッチンにある「センターキッチン」ドームハウス。

如何でしょう。

ドームハウスにご興味をお持ちの方へ

一人で家族のみの協力の下で始めた、森のドームハウス建設に始まり、
ドームハウスの専門家が集まり始めたドームドリーマーズを経て、
より多くの方々への情報を伝えるためのドームハウスインフォ設立に至りました。

 

お陰様でドームハウスの実績や活動内容も充実してまいりましたので、
カタログを制作してお届けすることができるようになりました。

ドームハウスにご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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一級建築士事務所 studioPEAK1(スタジオピークワン)代表。 山梨の県北、南アルプス山脈甲斐駒ヶ岳の懐に位置する白州町の森にて建築・設計活動をしています。白州に活動の場を移して十数年。この自然の中でしか感じることが出来ない事を学び吸収し、建築に反映してきました。技術力やデザイン力のみではなく、心からわくわくし、楽しくなる建築をめざし日々精進しています。