コンクリートは、外から見ると石の固まりの様に見えますので、壊れることなど無い頑丈なものの様に感じます。 しかし、実はもろいものなんです。
コンクリートの構造物が強いのは、その中に鉄筋と呼ばれる、太い鉄棒が入っているからに他ならず、鉄筋が入ってなければ単なるボソボソの石のようなものです。 どれくらいの強さになるかは、どれだけ鉄筋を入れるかによります。
木造住宅くらいの重量を支える基礎の場合は、直径が10mmから16mmの鉄筋を使うことが多いのですが、例えば、設計時に13mmで計算していたものが、間違えて10mmの鉄筋が入れられていたとすると、これは設計通りの強度が出ない基礎ということになってしまいます。 そんな間違えがないよう、作らなければなりません。
以前、「作ってもらっているウチの基礎が雨で水浸しになっている」とクレームを受けた工務店さんが、急いで掃除をして乾かした、という話がありました。
しかし、実はコンクリートの性質を知っていると、水浸しになっていることは決して悪いことではありません。 コンクリートは水と化学反応を起こすことによって固まり、水分によって強度を上げていく素材です。
例えばコンクリートの破壊実験を行う場合、破壊する為の塊をまず作るのですが、この実験体は水の中にぼちゃんとつけておき、固まるのを待ちます。 これを水中養生と言います。
コンクリートミキサー車から出てきたドロドロの状態のコンクリートを生コンと呼びます。 生のコンクリートとは良く言ったもので、まさに生もの。
設計時に指示をした通りに調合されたコンクリートは、決められた時間以内に現場にて打ち込まれなければなりません。 ミキサー車に何時間も揺られて、朝出荷された生コンを午後になってやっと現場で打ち込む、ということはあり得ません。
これは、運んでいる間にコンクリート中の水分が少なくなってしまったり、劣化してしまうことがあり、設計通りの強度が出ないコンクリートになってしまうからなのです。
国の規定では、練り混ぜてから打ち込みまで90分以内に打ち込むこと、という決まりがあります。(※気温により異なります。)
それほど水分の事を気にしなければならないコンクリートですので、真夏の炎天下での作業は大変です。 1時間以内に打ち込めたとしても、すぐに水分が蒸発してしまうと、ひび割れてしまうことがあります。 そのため、夏場は打ったコンクリートに水をまいたり、急激に水分が奪われないような処置を行う事もあります。
基礎が水浸しになってしまってるんだけど、、、の話は、コンクリートに充分な水分を与えることが出来ているため、ヒビもなく、質の高いコンクリートになると言える訳です。
コンクリートのことは、下請けの基礎屋さん任せで全く重要視していない工務店さんがいらっしゃいますが、基礎が建物の要であることは疑う余地のないことですので、大切にしたいところです。 設計通りに作るだけでなく、コンクリートの特性を知った上での工事が大切になる部分でもあります。
さて、そんなコンクリート、ボソボソなのにどうして構造マンションが建っているのでしょう?
高層建物のコンクリートの中には、鉄筋ではなく、鉄骨が入っているからなのです。 鉄の橋の骨、あれが鉄骨。 鉄の棒だけでなく、でかい鉄骨が入っています。 鉄とコンクリートを組み合わせると、超強力になるんですね。
ちなみに、コンクリートの中は強アルカリ性。 鉄は酸性になると錆びてしまい、だめになってしまいます。 しかし、強アルカリ性のコンクリートの中にいる限り、錆びが進行することはほぼないのです。