ネットで世界のドームハウスをのぞいてみると、かなり大きなドームハウスがあります。
ドームハウス発祥の地であるアメリカには、ツーバイフォー工法にてシステマティックに作られた木造のドームハウスが多くあり、勉強になる工法を見ることができます。
私たちのドームハウスも木造ですが、それらとは異なる「在来工法」で作っています。
世界共通の作り方のツーバイフォー工法ではないんですね、と先日もご見学のお客さまに尋ねられました。
そうなのです、ツーバイでは無く「在来工法」なのです。
ツーバイフォー工法(枠組み壁工法)には様々な構造上の規制がありますので、特に大型のドームハウスになると構造規定に引っかかり作ることができません。
地震国の日本では、高い構造強度が求められていますので、強い躯体にしないといけないんですね。
着々と進んでいるこちらの現場は、直径15Mのドームハウス。
私たちのドームの中では、最大級の木造ドームになります。
大工工事もほぼ終わり、足場も取れ、だんだんと全貌が見えてきました。
ドーム下の吹き抜け大空間を抜けて外に出ると、南アルプスを一望出来る屋上デッキに出ることができる設計です。
広いウッドデッキが、アウトドア・リビングとして様々な利用方法を提供するコンセプチュアルな建物となっています。
北側(写真右側)には大きなエクステンションがあり、個室や玄関をドーム空間から外してあり、吹き抜けのドーム下をそっくりそのままホールとして利用。
柱や梁を必要としないジオデシックドーム構造だからこそ実現出来る「大空間」がその特徴となっています。
15Mものがらんどうのドームとなると、ドーム内に小部屋を設けた通常の住宅ドームとは全く異なる構造設計内容となります。
10年以上に渡り木造ドームの研究を続け、この6年間は大学での実験や学会への論文提出等を続けることによって、どのようにすれば木造のドーム空間を安全に作ることができるのかを追求してきました。
特殊な木造ドームハウス構造には、破壊実験をしなければ算出出来ないことがあります。
そういった問題点を大学の研究機関と共にクリアーすることによって、この大型ドームも実現することができました。
不安定な要素や弱い部分に新しい工法を採用し、安全な建物になるよう組み上げています。
RC(コンクリート造)部分と、大きな断面の三角パネル、それを安定させる結合金物を採用。
強さと美しさを追求したフラードームです。
ドームハウスと木造構造研究は、安全な建物を作っていく上では切っても切り離せないものなのです。