小さなフラードーム小屋をつくる(その11)

通気層付きのミニドーム、
通常のドームハウスに比べて
三角が小さく細かい為、

仕上げ三角同士の
つなぎ部分全体を
通気層の出入り口とすることにしました。

屋根の防水層 と 仕上との間、
通気層の間隔は15mmです。

隣り合うパネル同士の間も同じくらい。

はたして
それほどきっちりと
隙間を確保しながら
張っていく事が出来るのかどうか、、、

三角パネルの設計は、
ミリ単位で誤差無く行い、
製作もほぼ誤差なく出来ました。

しかし、
ミリ単位で施工をするのは
かなり大変だろうと思いながら、
作った仕上げパネルを
現場に運び込みました。

 

「 まずはてっぺんに5枚張ってみようよ。 」

トップは5枚の仕上げパネルです。
回りに5コ、
トップライトがすでに取り付け終わっています。

ドームのてっぺんに登り、
このアルミサッシ枠を基準に
5枚の仕上げパネルを並べてみました。

今までは
防水シートのグレーに、
キラキラしたアルミ色のみだったモノクロの景色

それが、
自然の木目が引き立つ
板材が張られたことにより、
一気に美しく
光り輝いているように見えるのです。

「 お~、美しぃ~ 」

素材が持つ力ってすごいですね。
同時に高級感も出てきたのがまたすごい。

 

しかし、
きれいになって来たら
また別の問題が気になってきたのです。

茶色のパネルとパネルの間から見える、
通気スリット奥の防水シートが、
明るいグレーのため目に付くのです。

光が当たる場所は余計目立ち、
シート同士を貼っている
コーキングまで見えてきます。

しかしこのスリットは
内部の住環境を保つためには大切な隙間。
そこで、急遽スプレー缶を買いに走り、
黒く塗ってみることにしました。

ドームの三角模様になるように、
10cmくらいの巾で、
シューッと全体に塗っていきます。

これで幸い、
通気胴縁の黒パーツも見えなくなりました。

さあ、
後は仕上げ材を張っていくだけです。
きれいな三角形の仕上げ材が全88枚

通常であればこのドームの形状は
3種類の三角をつなげて作ります。

3種類。

しかし
この新型フラードームを形成している三角、
羽目板を三角になるよう
切ってつなげた仕上げパネルの種類は、
なんと17種類!

17、、、

羽目板には、
つなげる木端面に雄雌の実(サネ)加工、
つまり凸凹が付いており、
上下が決まっています。

外壁として使用する今回は、
水が溝に溜まらないように常に雄、
凸型を天に向けて
張っていかなければなりません。

また、
三角のどの辺に対して
平行に張っていくのかも、

出来る限り
地面と水平になるように張ることによって、
水が溜まらないようにしたいです。

そんなことを考えながら設計すると、
17種類になってしまうのです。

作ってきたパネルを床に広げ、
ぶつぶつ番号を唱えながら選び出し、
トップから順番に
施工していく作業を繰り返しました。

いま、一体どこ張ってんだろ? 訳わからん感、、、

 

ビスは防水層を突き抜けない長さに
設定してあります。

仕上げ材 15mm
下地の通気胴縁 15mm
合わせて 30mm

ここに5mm短い、
25mmのビスで留めていきます。

こういった細かい配慮により、
防水層に穴を開けてしまうことを
避けることが出来ますので。

残るは玄関の左右にある、
イレギュラーなサイズのパネルと、
玄関ドアだけ。

ここまで来ると、
もうある種、家具のように美しい!

あと一歩です。

ドームハウスにご興味をお持ちの方へ

一人で家族のみの協力の下で始めた、森のドームハウス建設に始まり、
ドームハウスの専門家が集まり始めたドームドリーマーズを経て、
より多くの方々への情報を伝えるためのドームハウスインフォ設立に至りました。

 

お陰様でドームハウスの実績や活動内容も充実してまいりましたので、
カタログを制作してお届けすることができるようになりました。

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一級建築士事務所 studioPEAK1(スタジオピークワン)代表。 山梨の県北、南アルプス山脈甲斐駒ヶ岳の懐に位置する白州町の森にて建築・設計活動をしています。白州に活動の場を移して十数年。この自然の中でしか感じることが出来ない事を学び吸収し、建築に反映してきました。技術力やデザイン力のみではなく、心からわくわくし、楽しくなる建築をめざし日々精進しています。