学生達と組み上げたフラードームは、ジオデシックドーム構造のおもしろさと美しさを、社会にアピールする目的もありましたが、実は完成後に大きな仕事が待っているのです。
完成後、2日間掛けて取り付けられた配線とセンサー群。
これから実験が始まります!
遡ること1年。
大学との共同研究を模索していたのは、昨年のことです。
どうせなら、木造建築界の大御所、○◎○◎教授にお願いをしようと考えました。
日本の木造建築における構造計算方法を、国と共に研究し決めていらっしゃる大先生です。
その○×教授の講演会が去年の秋にありました。
数百人が参加する、有料の講演会です。
ステージ上の先生に個人的な話を持ちかけることが出来るわけもなく、どうやってお願いをすれば良いものか悩みながら講演を聴いていました。
そんな中、講演会の終了後に、同じ建物内の別会場で、主催者と講演者の先生方とのパーティーが開かれることが分かりました。
これは話しかけることが出来るかもしれない、とその会場にそっと入り込み、周りを他の先生方や講演主催会社の重役さん達に取り囲まれている先生に近づいて行きました。
しかし、なかなか側に寄ることが出来ません。
とうとう会が始まってしまいます。
乾杯の準備が始まり、ザワザワと皆が動き始めました。
ビールを皆が注ぎ合い先生の側から人が離れた瞬間、急いで先生に近寄りました。
カタログと名刺をお渡しし、自己紹介と共にドームハウスの構造解析をお願いしたい旨、頼み込んでみました。
木造構造研究のトップを走っていらっしゃる大先生にも関わらず、とても気さくに、おもしろい試みですね、とお声掛けを頂きとても嬉しかったことを記憶しています。
残念ながら、全国を飛び回っている先生はお忙しい身のため、お受け頂くことは叶いませんでしたが、とても良い出会いを生むことが出来たと思っています。
その後、他大学との研究開発が決まった後、同様に講演会にてご報告をした際、私のことを覚えて頂けていた上、更に、
「それは良かったですね。
そのメンバーでの研究なら必ず上手く行きますよ!」
とお話し頂けたこと、大変嬉しく思いました。
何人もの方々の、細いツテを頼りやっとたどり着くことが出来た協同研究です。
実際に共同研究を受けて頂ける先生と巡り会うまで、大変な紆余曲折がありましたが、こうして実際に実験が出来たこと、これはドームハウスの運命を握る大きな出来事だと強く感じます。
様々な偶然と、多くの方々のご協力の下、ここまでたどり着くことが出来た事、私たちのドームハウスは、社会に必要であり、求められているものなのだと感じる所以です。
今後の、私たちのドームハウスの発展が、とても楽しみです。