フラードームって、なに?

ドームハウスのおもしろさは、家とはこういう物、建築とはこういう物、という固定観念にはめることが出来ないところが最大の魅力です。
何にも類似していないその形状や内部空間、球体の中に暮らしを入れ込むおもしろさ、エンジニア的な構造美も魅力の一つです。
必ずしも四角くなくて良い。
それだけでもいろいろなしがらみから解放される様な感覚を感じ味わうことができます。

更に実際にジオデシックドームの設計を行うと、その理論の素晴らしさに気づかされます。

ジオデシックドームを立体的に設計するには、まず、黄金比の四角を3枚組み合わせた立体から描き始めます。
その頂点を結び合わせた正二十面体を作り、各三角を細かく分割する事によってあの球体を作り出していきます。
この手順は、建築の設計とは思えない、別次元の智を感じざるを得ません。


この作図工程からつくり出されたジオデシックドームには、内部に見えない黄金比がかくされていることになります。


実際には存在しない、目に見えない黄金比。
それも黄金比率そのままを取り込んでいるのではなく、組み合わせによって生み出される基準形状。

黄金比は身の回りの自然界から宇宙に至るまで、あらゆる所に存在している造形規則です。
ひまわりの種の配列、貝の成長に伴い生まれる貝殻の曲線、松ぼっくりの種の配列、菊やタンポポの花びら、そして銀河系の形に至るまで、全て黄金比率によって描かれる曲線から成り立っています。


金閣寺や唐招提寺金堂、凱旋門やサグラダファミリア、なんと古代の建築物であるピラミッドやパルテノン神殿にも黄金比の規則性を見いだすことができます。

そういったことを突き詰めて考えていくと、古代の人たちが黄金比を知っていて、それに基づいて作ったとは考えにくいです。
黄金比とは数学的な規則性のため、古代には存在し得なかったもののはずです。

自然界に存在する規則性を持った物が、人の心に深く突き刺さる要素を同時に持っている。
その規則性を兼ね備えているからこそ、何世紀も引き継がれ壊れることなく残っている。
ということなのか、と感じます。

ドームハウスもまた、この自然界に存在する規則性、黄金比を元に作られています。
それが不思議と安心する、人の心の奥深くに訴える要素に繋がっているのだろうと感じます。

 

三角をつなぎ合わせて作る構造体は世の中にたくさん存在します。 しかし、内部に黄金比を入れて設計しているかというと、そうとは限りません。
私たちが作っているドームハウスにも、この規則に則って作った物もあれば、そうでないものもあります。

そこで、バックミンスター・フラー氏がデザインしたドームハウスの設計手法を元に作った物のみ、「フラードーム」と呼ぶことにしました。
最も典型的なフラードームは、フラー博士がご自身の家として設計した建築です。

フラードームを象徴する五角形が強調されるデザインですが、このように五角形部分を直接地面(基礎)に載せるように建てられているドームハウスはとても珍しいです。
何故ならこのようにしてしまうと、相当大きなドームにしない限り天井高を確保出来ず、2階を作ることができません。
そのため、一般的なドームハウスは、この五角形の下に壁をつくり、その上にドームを載せることによって、2階の天井高を確保してあります。


この写真のよう、フラー博士の家とは5角形が異なっていますが、この方法で作られたドームハウスも、ドーム部分は同じ形状ですので、黄金比を内部に内包していることに変わりありません。
そのため、四角い立ち上がり壁が五角形直下にあるドームハウスも、やはり「フラードーム」に分類しようと思います。
これもまた、内部に黄金比が入っている特徴を持っています。


三角を繋ぐことによって球や曲面を形成している建築はいろいろと存在しますが、内部に黄金比が入っていないものは「フラードーム」ではなく、高強度の「トラス構造建築」ということになります。

 

宇宙を形成している自然界の数学的要素(フェボナッチ数列)を内包している構造体を持つドームハウス。
それがフラードームの証であり、説明の出来ない居心地の良さをつくり出しているのです。

ドームハウスにご興味をお持ちの方へ

一人で家族のみの協力の下で始めた、森のドームハウス建設に始まり、
ドームハウスの専門家が集まり始めたドームドリーマーズを経て、
より多くの方々への情報を伝えるためのドームハウスインフォ設立に至りました。

 

お陰様でドームハウスの実績や活動内容も充実してまいりましたので、
カタログを制作してお届けすることができるようになりました。

ドームハウスにご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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ABOUTこの記事をかいた人

和田 啓宏

一級建築士事務所 studioPEAK1(スタジオピークワン)代表。 山梨の県北、南アルプス山脈甲斐駒ヶ岳の懐に位置する白州町の森にて建築・設計活動をしています。白州に活動の場を移して十数年。この自然の中でしか感じることの出来ない事を学び吸収し、建築に反映してきました。技術力やデザイン力のみではなく、心からわくわくし、楽しくなる建築をめざし日々精進しています。