柱や壁がない大空間が特徴的なドームハウスは、計画時に面積が大きくなりがちです。 要望を入れ込みながらプランニングをしていると、だんだんと大きくなってしまい、予算内に収まらないということが良くあります。 工事費を下げる方法として第一に考えることは、床面積を削ることが出来ないか考えます。 八帖の部屋を六帖にしたり、書斎を止めたり、二階のトイレを中止したり、と機能や要素を減らすことによって、面積が少なくなるように考え直します。 しかしながら、このような引き算のプランニングを行う前に、試しておきたい、ドームハウスならではの独特な面積削減・予算削減方法があります。
私たちのつくるドームハウスは、完全な自由設計です。 あなたのご希望に沿って、ドームの直径も、内部の部屋割りも、エクステンションも、自由に設計できます。
そこで、ドームハウスの直径を、すこ~し小さくすることによって、面積を大きく削減するという方法を考案しました。 例えば、直径12mのドームハウスを設計しているとします。 どうしても予算内に収まりそうになく、何かを削らなければならないとします。 部屋を小さくしたり、無くしたりする前に、まずはドームの半径をすこ~し小さくすることを考えてみます。 大きめのくつ一足分、30cmだけ半径を小さくしてみます。
青いラインが半径6mのライン。 その内側にある赤いラインが、半径5m70cmのラインです。 この内側のラインの中に、同じプランを入れ込むようにプランニングをし直します。 その際、小さくすることが出来ない、ユニットバスやトイレ空間の大きさを、先に確保しておきます。 1坪タイプのユニットバスは1坪(1820×1820)の空間がなければ設置できません。 トイレ空間の巾も、余り狭くては問題が出てきます。 階段の巾や廊下の巾も、同様です。 必ず必要となる部分の寸法を残し、その他の要素を少しずつ削っていきます。 全ての部屋から少しずつ面積を集め、縮小するのです。
結果、直径12mのドームのプランを、直径11m40cmのドームに、こんな風に入れ込むことが出来ました。
浴室の隣のウォークインクローゼットや収納が少し狭くなったり、玄関室の形状が変わったりしていますが、ほとんどそのままのプランを入れ込むことが出来ています。
これらの面積の差を計算すると、
<直径12m>
1階 31.16坪
2階 16.19坪
ロフト 1.5 坪
合計 48.85坪 です。
縮小した結果、
<直径11m40cm>
1階 28.12坪
2階 15.69坪
ロフト 1.37坪
合計 45.18坪 となります。
48.85坪-45.18坪=3.67坪
3.67坪縮小出来たということは、1坪が畳2枚分ですので、7畳以上の削減が出来たことになります。
部屋数を減らすこと無く、7畳の部屋一部屋分、減らすことが出来たと言うことです。
ほとんど同じプランなのにも関わらず、これだけの削減につながる。
これ、すごいですよね?
更に予算を削減しなければならない場合は、ここで初めて余分な要素を無くしていく作業に入ります。 ロフト1.37坪は部屋としての使用頻度が低いため、止めてしまっても良いでしょう。 また、2階吹抜に面したホール、キッチンの上に当たる、三角のテラス状のスペース3.65坪も、同様に使用頻度が低そうです。
これら2箇所を削減すると、1.37+3.65=5.02坪 ですので、
先程の直径11m40cmドームに縮小したときの3.67坪と合わせると、
3.67坪+5.02坪=8.69坪 の削減に繋がります。
8.69坪は17.38帖ですので、6帖の部屋を3つ弱、削減できたことになります。
このようにドームハウスの設計は、普通の家では考えられないような削減が可能になる場合があります。
これがドームハウス独特の、マル秘予算削減方法です。
2つのプランの違いを、よーく見比べてみてください。
何百万も削減できるとすると、全く問題のない変更なのではないでしょうか。
最後に一つ、気を付けなければならない落とし穴があります。 少しだけドームの径を小さくすることによって実現できる予算削減ですが、逆もまた同様に成り立ちます。 つまり、少しだけ大きくする事によって、予算が大きく膨らむこともあり得ます。 少しの直径の増加が、大きな面積の増加に繋がります。
プランは変わらないのに、予算だけがドンッと増えてしまうと言うことになってしまいますので、直径の数値だけから希望のドームサイズを決めてしまうと、見積り金額が思いもよらない額に跳ね上がってしまった、と言うこともあり得ます。 ここは注意が必要ですね。