この頃、ローンを組んで家づくりをされる
若い方からのご依頼が増えてきました。
一昔前までは、
地域柄、八ヶ岳南麓地域は
別荘のお客様がほとんどでした。
しかし近年、
都会を離れて
自然の中で新たな人生を始めよう
とされる方が増えてきています。
コロナ禍の不安も相まって、
今年は移住希望の方からの相談が多く、
元々移住組だった私としても
これまでの経験がお役に立てて
とても嬉しく思っています。
今日は
そんな夢を持っていらっしゃる若い方々が
不安に思っているローンの実態について
ここだけのお話をしたいと思います。
ここだけの、
あくまでも一地域に限った話ですので、
実際にどうなのかは、
直接銀行さんとお話しくださいね。
まず最初からなんなのですが、
ローンを組む場合、
ハウスメーカーさんにお願いする以外は、
結構ハードルが高い
と思っていた方が良いというお話を。
嫌な感じでスミマセン、、、
ローンの申請をする場合、
その前にいくつかの障壁を
乗り越えていかなければなりません。
1.所得と限度額の壁
2.設計を完成させる壁
3.工事契約をしておく壁
4.確認申請を通しておく壁
と、そこには大きな4つの壁があります。
1.所得と限度額
一般的に借りられるお金は
所得の5倍と言われていますが、
これは人それぞれです。
5.5倍や6倍といった方もいるそうで、
サラリーマンの場合は
会社の業績や会社の将来性まで
関係してくるのだそうです。
個人の問題以外の要素が
多くあるんですね。
ここで個人として対処できることとしては、
他のローンを全て整理し
なくしてしまうこと。
車のローンも残っている場合は難しいです。
またちょっと驚きですが、
携帯の自動引き落としによる支払いを、
うっかり残金がないことに気付かず
払えなかった経験がある場合も、
既にペナルティーが付いているそうですので
審査時に不利になると聞きます。
また昔と異なり、
土地などの不動産を持っていても、
現在は担保として利用してもらう事が出来ませんので、
親から譲り受けた土地があったとしても
有利にはなりません。
もし、売却を考えているのであれば、
先に売ってしまって、頭金にして、
ローンの借り入れ額を下げることにより
少しでも審査を楽に通す方が良いでしょう。
ローンの審査依頼は、
金額をきっちり決めた上で申請します。
いくらまでなら貸してあげるよ、
と前もって言ってくれれば良いのですが、
そういった対応をしてもらえたことはありません。
借りたい金額をこちらから提示して
審査をしてもらう形ですので、
もし落ちた場合は、
再度こちらから「下げた金額」にて
手順始めから審査をし直してもらう必要があります。
これが結構大変で、
何度も落ちてしまうと精神的にもつらく、
疲弊してしまうのです。
それでもがんばるしかないんですが。。。
2.設計を完成させる
次に審査をしてもらう為には、
金額を決めなければならなりません。
この工事の金額はどうやって決めるのかというと、
工務店さんに見積もってもらうしかありません。
ハウスメーカーのように、
この家はいくらといった価格表がある家ではない場合、
プランを固めて、
図面を描いて渡し、
積算してもらわなければなりません。
工務店さんがつくる住宅の積算は、
車の見積もりのようには行きません。
家を作るために使っている、
全ての材料の数量を計算し
積み上げていく見積もり方法を取ります。
地面の中から壁の中、
貼るもの、塗るもの、設置するもの。
それを日当いくらの
誰が何日かけて工事をするのかも、
人工計算(にんくけいさん)といい拾っていきます。
またそういった細かな計算をするには、
詳細な図面が必要となります。
この図面を描くには、
施主さんと共に、
どういう家にするのかを
全て決め終わってなければなりません。
家の配置や間取りはもちろん、
蛇口や照明器具などの品番まで工務店さんに伝えなければ、
金額を収集してもらえないわけです。
工事に必要な金額が工事契約金になるのですが、
ローンに組み込んでおく金額は
それだけで大丈夫かどうかの判断も必要になります。
工務店さんに支払う純粋な家の金額だけにするのか、
それとも設計費や登記費、
場合によっては外構やガレージなど、
家本体以外の費用まで借りるのか等、
全て正確に決めておかなければなりません。
というのも、
「ローンが実行される」と言いますが、
無事に審査に受かって現金を動かす際には、
施主さんの手元にお金が入ることはありません。
書類上は施主さん名義の口座に記帳されますが、
右から左へ通り過ぎるだけで、
お金は銀行から直接業者さんへ支払われます。
つまり、どこの業者さんにいついくら払うか、
という前もって作っておいた支払い計画通りに、
銀行からお金が動く仕組みになります。
支払先が工務店さん1社だけであれば分かり易いのですが、
何社にも渡って支払い分配をしていかなければならない計画を組んでしまうと、
1円も違えることなく、
工期もずれることなく、
予定通りに進めるということが結構大変な作業になります。
こういった支払い計画も設計内容と併せて
組み立てておかなければなりません。
3.工事契約をしておく壁
4.確認申請を通しておく壁
工事契約は工務店さんとの契約。
え?
ローンが通ってないのに契約?
と思うのですが、そうなのです。
ローンの審査が通るかどうかすら
分からない状態なのにも関わらず、
工務店さんと契約をしておかなければならなりません。
なぜなら、
銀行への提出書類に工事契約書が必要、
とあるからなのです。
併せて「確認申請の審査済証」も
提出必要書類リストの中にあります。
「確認申請」とは、
市町村役場に建物を建てるための設計審査依頼をし、
各種法律に則った建物かどうかの審査をしてもらうことです。
これが下りると工事の着工をしても良いことになるのですが、
まだローンが出るかどうか分からない状態。
それでも確認申請を通しておかなければ、
ローンの審査依頼すら出せません。
受け付けてくれないのです。
順を追って紐解いてみると、
確認申請を通すには、
工事契約をしておかなければならず、
工事契約をするには
設計を終わらしておかなければならず、
設計を終わらせるには
何十枚もの図面を描かなければならず、
また何十時間にも及ぶ設計家づくり打合せを
済ませておかなければならない。
更に設計を始めるに当たっては、
土地と予算が決まってなければ、
設計内容を考え始めることが出来ません。
この辺り、
非常に矛盾に満ちた中で進めなければならないのが、
このローンを使っての家づくりという事になります。
出来ることなら、
「ローン審査が通ってから、全ての障壁の除去に取り掛かりたいものです」が、
銀行さんは厳しいんですね。。。
ローンは、
住宅展示場で「これと一緒のものを下さい」
と依頼すると、
図面から見積もりまで
ツツツツツ〜
っと印刷されて出てくる、
出来合いの商品を買うように買える家づくり用のもの
と思っていいのではないかと感じます。
地域の工務店さんや、
ましてや我々設計事務所と共に家づくりをしたい方には、
全く不向きな制度だと思わざるを得ない制度なんですね。
しかしそれでもローンのお客様はいらっしゃいますし、
毎年ローンを使って建築もしています。
もしかすると、
あなたの地域の銀行さんでは
もっと楽に審査を通してもらえるかもしれません。
ローンをご希望の場合は、
まずはお問い合わせ前に、
地域の銀行さんと必要条件のお打ち合わせをした上で
ご連絡くださいませ。
楽しい家づくりを。