建物を計画する際、敷地が全てきれいな四角だとは限りません。
また、平らな土地だけとも限りません。
急な斜面で、その上細長くて、、、
一体こんな土地にどうやって計画を立てれば良いんだろう???
しかし、癖のある土地の方が、
結果として良い計画が出来ることが多くあります。
そこでしか生まれ得ないプランになることもあります。
こちら、坂の上のドームハウスです。
絵の左の方が下。
右の方が、坂の上になります。
敷地内を歩いて登っていくと、上の方では5m以上も登ってしまいます。
そこで、敷地の高低差を利用して、
上段、中段、下段と、外部デッキに段差を付けました。
上のデッキと、下のデッキとでは、1.5m~2mの高低差があります。
蹴上げ(1段の高さ)が20cmの階段であれば、5段で1m下りる事が出来ます。
上のデッキと中のデッキを、階段5段でつなげば、
1mの高低差を吸収する事が出来ます。
エクステンションは、ドーム本体から見ると、
坂の下の方に向かって、どんどんとせり出す形になってしまいます。
その床は地面からどんどん高く遠ざかり、
先端では2階の高さに。
そこで、エクステンションはドーム本体から切り離すことにしました。
間を屋根付きデッキでつなげて、階段で下りることにしてみます。
ドーム本体から半階分、7~8段下りたところにエクステンションの個室があれば、
ちょっと離れた、隔離された個室を作ることができます。
プライバシーを保ちたい個室や、
音の気になる木工室にアトリエ、音楽室など、
切り離すことによって成立する部屋ができあがります。
間の渡り廊下は、ガラス屋根にしてサンルームにするのも良いですね。
もう一つ、上下で建物を切り離す事による大きな利点が、このプランにはあります。
それは、工事費用。
斜面に沿って建物を建てようとする場合、高低差が大きければ大きいほど、
基礎工事にかかる費用が大きくなってしまいます。
基礎の底面は、敷地に勾配がついているからと言って、
勾配なりに斜めにする訳にはいきません。
基礎の底は、平ら、水平でなければならないのです。
勾配が急な所に、水平で真っ直ぐな基礎底面を作っていくと、
斜面の上の方へ行けば行くほど、
基礎の底面は、地面の中深くにもぐっていくことになります。
その分、基礎のコンクリート構造が大きくなってしまい、
工事費がかさんでしまうことに繋がります。
あまり大きな建物になってしまうようであれば、
上と下とを切り離して考える、という計画もあり得る訳です。
こういった初期プランを考えることを「基本設計」と呼びます。
家づくりにおいて、基本設計が一番大切だということが、
こんなことからも見えてきますね。。。
ちなみに、土地。
四角い土地だけでなく、
三角の土地やL型の土地、勾配のきつい土地等、
癖のある土地であっても、
あなたらしい土地に、あなたらしい計画を立てることが出来れば、
どんな土地でも活かせるのではないかと思います。