強い家って?

「強い家」ってどういう家のことを言うのでしょう。 大地震がきても倒壊しない家。 少しは壊れても倒れることなく、人命を守る家。 全く無傷でそのまま住み続けられる家。

家をつくるための決まり、建築基準法はというと、壊れても倒壊してしまうことなく、人命を守れるような構造強度とすることになっています。 つまり、壊れない家をつくりなさい、とはなっていないのです。

2016年4月に発生した熊本地震では、震度7以上の直下型の地震が、立て続けに二度発生しました。 一度目の揺れにより壊れることなく人命を守った家が、二度目の揺れにより、倒壊してしまいました。

しかしそのような中でも壊れずにそのまま使い続けることが出来る家もありました。 そういったニュースを見聞きすると、どんな家なら壊れないのだろう、何が違うのだろう、と思わずにはいられません。 強い家って何が違うのでしょう。

家の強さを表す際に、震度いくつまで耐えられる家、構造等級いくつの家、と表されることがあります。 これは、平成12年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて評価されています。

耐震等級2の家がどれくらい強いかというと、数百年に一度発生する地震の1.25倍の地震に対して壊れない強度の家となっています。
耐震等級3の家では、同じく数百年に一度の地震の1.5倍。
数百年に一度地震とは、震度6強から震度7程度の地震を指します。

では、木造住宅を設計する際に、耐震等級2と3の家では具体的に何が違うのでしょうか。

家の設計時、簡単に強度の差を出すには「耐力壁」の量と強さを増やしてやれば、より強くすることができます。 「耐力壁」とは窓やドアのない壁で、左右を柱から柱まで、上下を土台から梁まで、強い材料で固めることが出来る壁のことを指します。

壁の中に窓の開口があったり、1階の壁で天井まで(2階の床を支えている梁まで)届いていない背の低い壁は、「耐力壁」にはなれません。

このような強い壁がたくさんあればある程、より強い家になります。 しかし、家には窓やドア、造り付けの家具、和室の場合は間口の広いふすまが必要です。 和風住宅の場合、八帖の和室の三方が四枚立ての襖で、残る一方は外に面した掃き出し窓、という間取りは多くあり、耐力壁を増やすことが難しいことが往々にしてあります。

そういった場合、次のステップとして一枚一枚の耐力壁の強度を上げる事により、家の強さを強くすることが出来ます。

具体的には、使用する面材の種類をより強い物に変えたり、面材と柱梁を打ち付けている釘の本数を増やすことによって、より強い家にする事ができます。

例えば、プラスターボード張りの壁を構造用合板に換えてやると、0.9倍という強さの壁が、2.5倍の強さになります。 また、釘のピッチを細かく打つ等、特定の施工方法を取ることにより、3倍~4倍へ、強くすることが出来ます。

この耐力壁、単にたくさんあれば良いと言うわけではありません。 平面的に家を見たとき、片側にかたよって配置してしまうと、逆に弱い家になってしまいます。 片方だけが強いため、地震の時にそちら側だけが固められて動かず、反対側が大きく揺さぶられてしまう事によって、簡単に倒壊してしまう家になってしまいます。

大切なのは、東西南北、なるべく均等にバランス良く強い壁を配置すること。 南側を全て大開口とし、北側は窓なし、というプランの家を作りたい場合は、耐力壁のバランスが悪くても大丈夫な設計が必要となります。

ここに二つの全く同じプランの構造解析シミュレーションがあります。


これらの違いは、単純に南側の外壁(手前側)の耐力壁の強さが異なるだけです。

外から見ても全く同じ家ですが、一つは地震で倒壊し、一つは無傷の家です。
壁の中のつくり方がどれほど大切なことか、一目瞭然ですね。

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一人で家族のみの協力の下で始めた、森のドームハウス建設に始まり、
ドームハウスの専門家が集まり始めたドームドリーマーズを経て、
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一級建築士事務所 studioPEAK1(スタジオピークワン)代表。 山梨の県北、南アルプス山脈甲斐駒ヶ岳の懐に位置する白州町の森にて建築・設計活動をしています。白州に活動の場を移して十数年。この自然の中でしか感じることが出来ない事を学び吸収し、建築に反映してきました。技術力やデザイン力のみではなく、心からわくわくし、楽しくなる建築をめざし日々精進しています。