家が暑かったり寒かったりするのは、その家の設計内容や施工方法によります。
暑かったり寒かったりということは、外部の影響を室内が受けてしまっているということです。
外部の寒さが外壁に伝わり、その熱や冷気が壁の中を伝って室内に影響を与えていることになります。
外壁については、どれくらいの性能の断熱材が、どれくらいの量、入っているかによって、熱をシャットアウトする性能が異なります。 例えば、温かい地域で使う薄っぺらなグラスウールを詰め込んだだけでは、寒冷地や南国では断熱材不足になってしまいます。
断熱材が少ないと、寒くて暑い家になるだけではなく、寒い時期に、壁の中で結露が発生し、壁の中がびしょびしょになる恐れがあります。
車の中のガラスが冬場に曇り、そのうちしずくが流れるほど濡れてしまっているご経験、ありませんでしょうか?
それと同じ事が壁の中でも起こるのです。 びしょびしょになり流れる水は、壁の中の断熱材が吸ってしまいます。 水気を吸って重たくなったグラスウールは、自重に耐えられず、壁の中で落下する事になります。 一昔前の木造住宅には、そのような施工の家が多くありました。 リフォーム工事で壁をはがしてみると、結露で湿った壁の中がカビだらけ、、、という状態の家に出くわすことがあります。 築30年~40年の住宅にそのような事が多いのですが、その原因は中途半端な断熱工事にあります。
戦後すぐの頃の住宅は、断熱材すら入っていません。 グラスウールがまだ普及して無かったからでしょう。 和風の塗り壁の家や、壁の中が空っぽの家になってしまいますので、当然、暑かったり寒かったりするのですが、そのお蔭で結露は起こりません。 壁の中の温度が、外気温に近ければ結露は発生しないからなのです。 車の窓が曇ったとき、窓を開けると曇りはすぐに消えてなくなります。 家も同じで、壁の中の温度が外に近ければ、湿気が多くても結露はしないのです。
中途半端な断熱工事は、家自体の寿命を短くしてしまいます。 どれくらいの断熱材を入れる必要があるのかは、地域によって異なります。 最も重要視すべきことは、結露が起こらない事。 外気温が氷点下になる地域では、室内温度との差が大きくなります。 その際に壁の中に湿気が入り、そこに冷たい物があると、結露が発生してしまいます。 しかし、断熱性能が高いと、壁の中で熱が伝わりません。
室内の壁の表面温度が、その壁の内側へ伝わり、壁の内側の表面から壁の中の空間(空気)に熱が伝わり、壁の中の断熱材に伝わり、じわじわと壁の中の外側の表面にまで熱が伝わります。 ゆっくりと順番に伝わって行きますね。 その時同時に、外からも同じように氷点下の熱が家の中へと伝わって行きます。 お互いの熱が伝わり合い、そこにある気体の中に含まれている水蒸気が水に変わる温度に触った所で、気体の水蒸気は水へと変わり結露となります。 これを阻止するには、じわじわと熱が伝わることのない性能と量の断熱材を入れてあげれば良い訳です。
これは寒い時期に起こる結露ですが、逆もあります。 夏、屋根の上が熱せられると屋根の表面温度は70℃近くになることもあります。 室内側、天井近くでエアコンを回すと、冬とは内外が逆になった状態が発生します。 夏は湿度が高いため、暑くても結露が起こってしまいます。
熱が伝わらない程の断熱材がどれくらいかは、地域地域によって算出することができます。 地域に合った量の断熱設計を行えばこの様な自体は避けることが出来ます。
暑かったり寒かったりしない家を考える際、まずは「結露」について知ることがとても大切です。 それは、断熱と結露の仕組みをお話しした上でなければ出来ない次の話、「通気」につながるからなのです。
暑かったり寒かったりしない家をつくるために有効な、断熱、結露防止、通気の技術。 次回は、通気のお話しを致しますね。
外気温がマイナス5℃の時、
外壁の表面温度はマイナス2.2℃。
その壁の丁度内側に当たるところの、
壁の表面温度はというと、、、
14.4℃ でした。
冬の朝、暖房を付けていない、北側玄関脇の壁です。
外気温の影響を室内の壁が受けていないのが分かりますね。