二叉の大黒柱は、買ってきたんじゃないんです。
山で見つけてくる、、、
というのもまた難しいですので、
ある意味、出会いみたいなものです。
この赤松は、敷地内に自生していました。
周囲の松は、3割くらいの松が松食い虫にやられてしまい、
立ち枯れていました。
立ったまま枯れてしまうことを、立ち枯れと言います。
立ち枯れた木に雪が載ると、重さに耐えられず、
途中から折れて落ちてきます。
根元が腐ってしまった木は、地面の中で根っこが切れてしまい、
土と共にえぐり取られるように、根と共にひっくり返ることもあります。
その木が元気かどうかだけではなく、
10年後どれくらいの大きさになり、
どこまで枝が伸びてきているだろうか、
と将来の景色を想像しながら、庭をつくる必要があります。
二叉の大木は、建物が建ってしまうと大型の重機が入らず、
伐採することが出来なさそうでした。
またそれ以上に、通常よりも弱い二叉の部分が折れてしまうと、
お隣に倒れてしまう可能性も。
冬場の強風、八ヶ岳颪(おろし)や甲斐駒颪が強いこの地域では、
高いところに雪が載り、そのまま凍ってしまい重くなり、
その後の強風で、折れたり倒れたりということが頻繁に起こります。
屋根を潰してしまった、車を壊してしまった、
ということが頻繁に起こっています。
ということで、建設前に伐採する方が賢明と判断しました。
この大きなクレーンをラフターといいます。
今、吊っている物が何トンあり、
現在の作業が危険かどうかを
重さにより判断しながら吊り下げられる優れものです。
巨大な赤松は、重たすぎてそのまま吊り上げることが出来ません。
安全を確保した上で、途中から切り離します。
ラフターには一本のクレーン支柱に大小2種類のクレーンワイヤーが付いています。
大きい方で松を吊るし、
小さい方で高所作業用のゴンドラを吊します。
揺れるゴンドラに載った作業員に、
上の方で大木を切り離してもらいます。
一台のラフターでいっぺんに2つの作業を行う訳です。
吊しながら切らないと、切った大木が落ちてきますので。
(中間部分を伐採中)
(二本目の上半分を伐採完了)
無事、赤松の大木の、
重たい上半分を切り離すことが出来ました。
低くなっても、それぞれの丸太には相当の重さがあります。
柱にするため、途中で折れてしまわないように
慎重に伐採しなければなりません。
二叉の根元は、上から落ち葉が降りかかり、
雨水が溜まり、
中が浸食されて空洞になってしまったものが多くあります。
外から見ると太い根元も、
実は中が空洞で空っぽだったということも多いです。
大木の中の空洞を、ウロといいますよね。
トトロの住み家はウロの中でした。
木はどんなに太くなっても、
水や養分を吸い上げる導管はその表面だけなのです。
木は、中が空洞になっても、
折れなければ問題なく生きていけるのです。
外から、どこまでウロが広がっているかを確認することはできません。
切ってみないと分かりません。
途中で折れてしまわないように、
なるべく二叉から離れた下の方を、
特別に長いチェーンソーを使って切っていきます。
切り進める内にチェーンソーの歯が挟まってしまい、
動かなくなってしまいますので、
斜めに三角に、切り落としながら伐採をするのが通常の伐採方法。
しかしここでは、後で柱に加工しなければなりません。
なるべく下の方を残したいですので、
クレーンの先端をちょっとずつ動かしてもらい、
吊り下げた大木の重心を微妙に移動しながら、
まっすぐいっぺんに伐採しました。
職人技の連携プレー、すごいです!
(やっと切り離すことが出来た大木)
二本の幹を折ることがないよう、慎重に寝かせます。
直径1m弱の根元には、
御神酒をあげて感謝です!