こだわりの家づくりを追求してゆくと、
どうしてもゆずれない事が出てきます。
機能的な事だったり、
デザイン的な事だったり、
人により様々なこだわりがあります。
例えば、アンティークの建具。
雑誌の切り抜きや、海外の写真のような、
素敵なドアや窓、ステンドグラスを発見。
部屋の雰囲気が、
窓やドアの装飾でがらっと変わるので、
どうしても使いたいものが出てきたとします。
ファイルにまとめて、
打ち合わせに持って行き、
恐る恐る相談してみるのですが、、、
施工的に無理ですね、とか、
規格が海外の物なので付きません、とか、
保証外になってしまいますので取り入れられないです、
と言われてしまった、という話を良く聞きます。
いえいえ、
そんなことはありません。
アンティークドアもつけられますよ。
まず、そういったアンティークドア自体は
工務店さんには手配できません。
自分でアンティークショップなどで手に入れましょう。
施主が購入し、
現場に支給する方法を「施主支給」と言います。
その際、金物はどうするか、ドア枠はどうするか、
建築士さんや大工さん、
建具屋さんと良く打ち合わせる必要があります。
ドアの場合、枠は大工さんが作ります。
大工さんが作った枠に合わせて、
建具屋さんがドアを建て付けたり、
製作したりします。
アンティークショップで購入する
本物の古い建具の場合は、
枠は付いていません。
アンティーク風に作ってある新しい商品場合は、
枠付きのものもあります。
ドア枠付きのドアを購入したのであれば、
枠は大工さん、ドア自体は建具屋さんが取り付けます。
この写真は、まだ工事まっただ中で、
ドアの取付など関係ないように見えますが、
実はもうドア枠が付いている状態。
柱の左に見える、薄い門型の板がドア枠なのです。
ドアを付けるのは工事の後半ですが、
ドア枠は、こんなに早い時期に取り付けます。
枠を大工さんに付けてもらうときに、
枠の幅が問題になります。
米国のツーバイフォーの住宅の壁厚は、89mm+仕上げ厚。
しかし、日本の在来住宅の壁厚は、
105mm+仕上げ厚、
または、120mm+仕上げ厚です。
付けようとする壁の厚さに合った枠を注文しなければなりません。
また、アンティークドアに付いているハンドルや、
カチッと閉まるラッチが使える場合は良いのですが、
付いていない場合は、
ドアノブとその中の機械部分を別途買わなければなりません。
通常の室内ドア厚は、
30mm~36mmくらいですが、
アンティークドアには、
5cmも6cmも厚みがある物があります。
そういったドアの場合は、
ドアノブとその中の機械が、
普通のドア用の物は使えませんので注意が必要です。
ちょっと問題になることと言えば、
ほとんどのアンティークドアは歪んでいます。
角が直角でなかったり、
上と下が斜めに反っていたり。
そのままでは大工さんが作ってくれたドア枠に入らない物もありますので、
枠に合わせて、四方を切ったり削ったりして調整します。
長さが足りなかったり、
歪みすぎている場合は、
新たに板をドアに足し、
大きさを整えることもあります。
アンティークドアは、
べったりと分厚く塗装が掛かっていますので、
木を足してもまた上からべったりと塗装をすればわからなくなります。
アンティーク建具ショップの中には、
このような作り直しのオーバーホール作業をしてくれるところがあります。
問題なく付けられるように加工してくれたもののみを現場に配達してくれます。
そうでない場合は、
建具屋さんに預けて調整してもらわなければなりません。
先に壁に設置しなければならないドア枠については、
預けた建具屋さんに加工後の寸法を出してもらい、
その寸法通りに大工さんに作ってもらいます。
こだわりの一品をどこかに使うことが出来れば、
ますます、あなただけの家になりますね。
こちら、元々イギリスの玄関に使用されていたアンティークドアを、
室内ドアとして取り付けました。
それぞれの建具の上端が合っていないのが分かりますよね。
左の建具はちょっと背が高かったので、
それに合うように枠を作ってもらいました。
2枚とも玄関ドアだったため、
真ん中にポストが付いています。
ポストの金物がかわいいので、
そのまま使ってあります。
こちらは、アンティークドアを引き戸に加工しました。
狭い廊下を有効的に使うには、
ドアより引き戸の方が便利です。
また、引き戸は開けっ放しにしておいてもじゃまになりません。
特に洗面所等、換気を常にしておきたい場所は、
ドアよりも引き戸の方が便利なことが多いです。
そんな場所にも、施主支給のアンティークドアを使うことが出来ます。
こちらは金物だけを施主支給とし、
建具は建具屋さんに作ってもらいました。
アンティーク調の金物を使うことにより、
新しい建具でもアンティーク風に仕上げることができます。
デザインされた金物は、
なかなか趣味にあった物に出会えません。
家づくりを始める前から、
集めておいても良いかもしれませんね。
いろいろ大変そうだなあ、と思ったあなた。
大丈夫ですよ。
大変なところは専門家の我々設計者や、
工務店さんがやってくれますので。
工業製品や既製品を取り付けるだけの家づくりが主流の現在では、
工務店さんには大変な作業と思われるかもしれませんが、
家づくりも、自分らしさを大切にしてくださいね。