冬の24時間換気は寒いので、熱交換という技術にて

みなさんのお宅には、換気扇っていくつありますでしょうか?

台所、お風呂、トイレ。
もしかすると、脱衣所や納戸にもあるかもしれませんね。

最近の家は、絶対に24時間換気扇を付けなければならない様、法律で決められていますので、換気扇のいくつかは、常に動いている状態です。

法律では、2時間に1回、家中の空気を入れ換える事が出来る能力の換気扇を設置し、且つ、回し続けておかなければならないことになっています。

家の外壁にある、換気扇の出口に手を当ててみると、トイレ用の小さな換気扇であっても、かなりの量の空気が中から外へと捨てられていることが分かります。

外に向かって空気が出ているということは、必ずそれと同じ量の空気が、どこかから中に向かって入っています。

台所の換気扇を「強」にしたときに、ガンガン外へ空気を排出しますが、これもまた、ガンガン中へ、寒い空気を入れていると考えるべきです。

 

暖房器具を置いてある居間だけは、もったいないのでなんとか換気されないように、と考えがちですが、人がいる部屋こそ換気をしなければなりません。

北側にある押入の中や、納戸の中の壁が、カビてくることがあります。

これはその部分の空気が全く換気されず、また室内にいる人やストーブ等、生活の中から排出された湿気が、そこへ少しずつ溜まっている証拠です。

換気をしないという選択肢は、人の為にも、家の為にもなりません。

 

寒冷地では、外の温度が氷点下。

東京から2時間程度の八ヶ岳でも、2月になるとマイナス10℃以下という日が何日もあります。

そんな時も、やっぱり24時間換気扇は回っています。

 

外がマイナス10℃だと、入ってくる空気もマイナス10℃。

法律通りに24時間換気扇が動いているとすると、だんだんと外のマイナス10℃の空気が、混ざりながら家の中の空気と入れ替わり、2時間で全て替わってしまうという事になります。

嫌ですよね。

 

そこで「熱交換換気扇」を使う、という手があります。

この換気扇は、名前の通り、熱を交換することができる機能を備えた換気扇です。

中の汚れた空気を出しながら、外の冷たい空気を、エネルギーを使うことなく暖めながら入れてくれます。

ヒーターみたいなものが入っている訳ではありません。

くるくる回るファンだけしか入っていないのに、外の冷たい空気が暖まりながら入ってきます。

不思議でしょ。

 

その仕組みですが、まずこの機械の中には空気の流れが2つあります。

1つは室内から室外へ。

もう1つは逆に、室外から室内へ。

この2つの通路を空気が流れていく際に、エネルギーを使うことなく「熱」だけをやりとり(交換)し、外の冷たい空気の温度を上げて室内に入れてくれます。

 

例えば、外から0℃の空気を入れる。

室内からは、プラス23℃の空気を出す。

換気扇の箱の中に入っているフィルターの能力が、7割の効率で熱をやりとりできますので、
外の0℃は、15℃になって入ってきて、

中の23℃は、8℃になって捨てられていきます。

0℃がそのまま入ると冷たいですが、15℃だと冷たくないですよね。

そんな働きをしてくれる換気扇のことを、「熱交換換気扇」といいます。

 

これのすごいところは、エアコンのような複雑なハイテクの機械なんじゃないかと想像してしまうのですが、至って簡単な仕組みで動いている事。

熱を交換している心臓部は、単純な白く四角い紙質のフィルターのみです。

三菱電機 ロスナイのHPより

 

三菱電機 ロスナイのHPより

四角いフィルターの側面4面には、段ボールの断面のような穴があいています。

上と下には穴はありません。

箱の右から空気を入れると、左から出てきます。

箱の手前から空気を入れると、奥に出ていきます。

それぞれの空気の道は、交わることはなく、

流れている空気が、それぞれ混ざることはありません。

しかし、これらの道は隣り合っています。

隣り合っているために、隣の熱が伝わって来ます。

こちらの熱も隣へ伝わります。

熱だけを伝える道が何百本と束ねてあり、そこに空気を通してやることによって、空気自体を混ぜることなく、熱だけを交換する仕組みのフィルターとなっています。

すごいですよねー

ドームハウスにご興味をお持ちの方へ

一人で家族のみの協力の下で始めた、森のドームハウス建設に始まり、
ドームハウスの専門家が集まり始めたドームドリーマーズを経て、
より多くの方々への情報を伝えるためのドームハウスインフォ設立に至りました。

 

お陰様でドームハウスの実績や活動内容も充実してまいりましたので、
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一級建築士事務所 studioPEAK1(スタジオピークワン)代表。 山梨の県北、南アルプス山脈甲斐駒ヶ岳の懐に位置する白州町の森にて建築・設計活動をしています。白州に活動の場を移して十数年。この自然の中でしか感じることが出来ない事を学び吸収し、建築に反映してきました。技術力やデザイン力のみではなく、心からわくわくし、楽しくなる建築をめざし日々精進しています。